2018年創設の株式会社Sportip(以下、同社)は、カメラのモーションキャプチャーをもとに、AI姿勢分析・動作分析が行えるアプリ「Sportip Pro」を開発。
瞬時に適切な運動メニューが提供できるシステムを構築し、パーソナライズされた指導をサポートしている。トレーナー向けiOSアプリにおけるトップランナーの強み、導入事例や新たなバージョンアップについて取材した。
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株式会社Sportip営業戦略本部 マネージャー上田 篤氏
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株式会社Sportip代表取締役室竹内茉優氏
運動メニューの数は他社の10倍超
AIの発展は目覚ましく、姿勢分析・動作分析のシステムを提供する企業は増えている。そのなかで「Sportip Pro」の一番の強みは、「充実した動作分析」。
他社のツールは立位や座位をチェックする姿勢分析1種類のみ、あるいは追加機能で肩や肘などの関節可動域測定を行える程度のものが大半である。
「Sportip Pro」は姿勢分析だけでなく、歩行解析や自重、マシントレーニングの動作解析機能を搭載。正しいフォームでのサポート、トレーナー指導の質を均一化させることに貢献できる。
AIの分析結果を元にトレーニングメニューを自動作成するが、その種類の豊富さは、他を圧倒しているという。
「他社では100 ~ 200ぐらいのメニューが多いです。『Sportip Pro』は若者から高齢者まで、あらゆる方に最適な2,295以上の膨大なメニューをそろえています。これも当社が優位に立っている部分です」と、同社代表取締役室の竹内茉優氏は胸を張って話す。
無料体験での入会率が71%まで上昇

同社開発のアプリは、事業者の様々な経営課題の解決に貢献している。その代表的な導入事例を2つ紹介しよう。
1つ目は、総合型+パーソナルのクラブ。無料体験後の入会率が一定期間で33%と伸び悩んでいたため、「Sportip Pro」を導入。無料体験の際、姿勢解析を中心にサービスを提供した結果、利用者から身体データを理解し、自分に合った運動メニューを行えると好評の声、入会率は71%まで上昇した。
同社の営業戦略本部でマネージャーを務める上田 篤氏は「姿勢の歪みなど身体の分析を短時間で実践し、利用者に即時にフィードバックできる、またトレーナーのレベルによらず正しい指導を届けられる、という現場の声も導入の決め手になりました」と話す。
同クラブでは、パーソナルの初回セッションにも活用し、次回の予約率が50%以上も伸びたという。入会時における顧客満足度の向上と、それに伴う収益性の改善を実現した好例といえる。
2つ目の事例は、パーソナルジム。
顧客単価は高い傾向にあるが、さらなる単価アップと継続率アップが課題であった。そこで、サブスクの新プランとして「Sportip Pro」の導入を決定。AIによる姿勢と動作分析、トレーニングフォームの分析などをユーザーに提供。
すると、個々の身体に合わせた運動メニューが顧客満足度を高め、退会防止につながった。肝心の顧客単価も上がり、課題解決の一翼を担ったのだ。ジム側からは同ツールの操作性についても、「初見でも手間がかからず簡単、かつ高精度な解析ができる。トレーニーの方々に対する説明ツールとして使える」という高い評価を得た。
マーケティングを自動化支援
「Sportip Pro」の導入実績は既に1,000店を超えている。今年4月サービス向上のため、リニューアルを実施。
旧アプリからのバージョンアップは、以下の4つが柱となる。
①わかりやすく理解できるUI/UX
➁AI姿勢推定・動作分析の高精度化
③レポート機能の強化
④顧客管理とコミュニケーション機能の進化
特筆すべきは、④の進化だ。「顧客の運動から食事に至るまでの行動履歴、悩み等をまとめたカルテのデータ管理化に注力。トレーナーは、これまで以上に重宝するはず。さらに、ビジネスでの成果につなげる機能も追加。LINEと連携し、分析データを活用した生成メッセージを自動的に配信する。例えば、改善アドバイスや来店促進を図る、新プランの提案など、自動化での支援を行えます」と竹内氏。同社はバージョンアップを継続していく。解析機能の1つ、「未来姿勢予測」も改善の余地があるそうだ。現在は個人の姿勢を映像で解析し、将来の予測を、3Dアバターで表示している。
「今後、本人の顔やスタイル、服装までシミュレーションできるように刷新したい」と上田氏。リアリティを増した自分の将来の悪い姿勢を見たとき、よりモチベーションを高めるに違いない。
同社は「Sportip Pro」を通じ、事業者のさらなる課題解決と、ユーザーの満足度向上を目指し、前進していく。