ジム経営業者の実態調査

ここでは、ジムの経営を主業とする企業の実際の収入高や業績についての調査について簡単にレポートしている。総合型も含めた調査となっているため、規模感の違いからすべての数字を参考にできるわけではないが、しっかりとポジショニングをとった新興企業の小規模型ジムの経営が、どれだけ追い風の傾向にあるかが分かるだろう。

ジムの収入高合計推移

ジムの経営を主業とする企業の2017年度の収入高合計は前年度を4.0%上回る5,968億300万円となった。過去10年間における収入高合計の推移を見ると、2009年度(4,542億3,800万円、前年度比1.0%減)以降は2年連続で前年度を下回ったものの、2011年度(4,593億2,500万円、同1.5%増)以降は7年連続で前年度比増加が続いている。健康志向の高まりで、ジムの会員数は増加傾向で推移しており、2017年度は過去10年で最高を記録した。

業歴別のジムの経営動向

2017年度の収入高動向を業歴別にみると、増収の構成比が最も高かったのは「10年未満」(40.7%)で唯一4割を超えた。2010年に設立されテレビCMで話題の“結果にコミットする”ジムを手掛ける RIZAP(株)や、中四国でスーパーストアを展開している(株)フジが 2013年に設立した(株)フジ・スポーツ& フィットネス、2010年に設立され、低価格型で 24 時間営業の“エニタイムフィットネスクラブ”を運営する(株)AFJ Project など、業歴10 年未満の新興企業の増収が目立った。

調査の結果、健康志向の高まりや 2020年(2021年)の東京五輪などが追い風となり、フィットネスクラブ経営業者の 2017年度収入高合計は過去10年で最高を記録。年商規模に関わらず増収を果たす企業が多いことが判明した。また収入高合計は7年連続で前年度を上回り、特に、文部科学省の外局としてスポーツ庁が創設された 2015 年度は、収入高合計が前年度比 11.0%と2ケタの大幅増加となった。 

また、各社は、24時間営業の店舗や女性専用ジム、音楽に酔いしれるクラブ感覚でエクササイズができるほか羞恥心を感じさせない空間を提供する暗闇フィットネスなど、顧客のニーズを汲み取った新たなサービスの展開を加速させている。つまり、コンテンツが何でもあり、コンセプトが曖昧になりがちな総合型ジムよりもむしろ、ある1つの目的・コンセプトに絞った小規模型ジムの方が現代の潮流には適しており、さらにファンもつくりやすいということが言える。

ジム経営の収支構造

ジムの経営を始めるにあたって、資金管理は欠かすことのできない要素だ。しかし、大体の初期費用と運営費用が想定できていなければ、借入額なども決めることができない。業態によってかかる費用はさまざまではあるものの、ある小規模型ジムの収支構造を下記に整理したので、参考にしてみてはいかがだろうか。

前提条件

出店形態  
会員数 700名
平均客単価/月 7,000円
面積 90坪
面積単価 15,000円
入会数/月 40人
体験者数/月 0人

料金体系

会員種別 入会金(円) 登録料(円) 月会費(円) 備考
フルタイム 0 5,000 7,000  

初期支出

項目 金額(円) 備考
敷金 13,500,000 10ヶ月分
保証金+礼金 0 0ヶ月分
仲介手数料 1,350,000 1ヶ月分
開業準備費 8,000,000 加盟金・開業監修費・研修費・人件費
宣伝広告費 700,000 1000円/人
マシン機器 25,000,000  
内装工事+設備 45,000,000  
合計 93,550,000  

売上高

項目 金額(円) 備考 売上構成比(%)
入会金 0    
会費 58,800,000 クレジット請求 96
体験利用料 0    
入会手数料 1,200,000 正規金額×50% 2.0
物販収入 0 0円/人  
その他収入 1,260,000 150円/人 2.0
合計 61,260,000 総売上高

費用

項目 金額 備考 売上構成比(%)
社員人件費 0 社員0名  
パート人件費 7,800,000 パート6名 12.7
フリー人件費 0    
法定福利費 0 社員人件費×13%  
電気代 2,400,000   3.9
水道代 2,400,000   3.9
物販仕入 0    
消耗品費 2,400,000   3.9
事業所税 0    
燃料費 2,400,000   3.9
広告宣伝費 3,840,000   6.3
施設管理費 0    
リース料 0    
家賃 16,200,000 月額家賃×12ヶ月 26.4
駐車場賃料 0    
保守管理費 0 警備システム  
障害・賠償保険料 105,000 会員数×150円 0.2
諸経費 6,677,250 全経費5%+ロイヤリティ 10.9
小計 44,222,250  
減価償却費 1,166,667 内装・設備・備品 1.9
借入金利 935,500   1.5
小計 2,102,167  
合計 46,324,417   75.6

利益

項目 金額 売上構成比(%)
店舗損益 14,935,583 24.4