ジムの経営を失敗させないために必要なマーケティング施策

ジムを安定して経営するにあたって、マーケティング施策は必須となる。自分の接客力や健康にまつわる知識がどんなに優れていようと、会員を集め継続させるための施策やコンテンツ、その仕組み化ができなければいずれ経営破綻してしまうだろう。
ここでは、最近の傾向からよく見られる集客施策と会員定着施策の2つに焦点を絞って説明する。

集客施策について

代表的なものは、見学者への「測定・カウンセリング・評価」や「体験利用」などのサービスを無料もしくは安価で提供すること。体験利用は1回だけでなく、数回または一定期間を設定するところが増えている。さらに新店のオープニングでは、早期入会者への月会費割引きオファーやオープン直前期間の「見学会」「体験会」の実施により、効果をあげるクラブが増えている。

Webによる集客も重視されており、Web入会により1,000~2,000名の開業前集客を実現するクラブも見られるようになってきている。特に20代・30代の実際の入会経路においては、特に顕著にWebの割合が高く、40代・50代になるとチラシでの集客率が高くなっているため、自分が経営するジムのコンセプトやターゲットに応じて柔軟に対応すべきだろう。

また、比較的規模の小さいジム・スタジオは単店では思うように集客が進まないため、同一エリアに複数出店することで認知を高め、集客力をつけようとする動きも最近ではよくみられる。

さらに、グループでの同時入会にメリットを提供するジムも増えている。「家族会員」や「ペア会員」「トリオ会員」といった会員種別を設け、1人単価を正会員より低く設定することで入会を促す。特に今のブームに合わせて若者向けのジムにするのであれば、友人同士での入会をしやすくすることで集客だけでなく継続にも一役買うだろう。

会員定着施策について

会員定着として、多くのジムがまず基本的な策(初期定着活動、クレンリネスの徹底、会員マナーの徹底、混雑緩和、挨拶励行、名前を呼ぶこと、支配人による入会へのサンクスレターの送付や電話など)の徹底に努めている。特にコロナ禍の現在はクレンリネス、会員マナーの徹底が重要視されており、店舗の評判にも直結する要素となりうる。
また、SOAP※やFMS※、カウンセリング、エントリープログラム、トレーニングスケジュールの提供など、入会前あるいは入会直後、身体の状態や希望をチェックし、モチベーションをもってフィットネスに取り組めるような複数のサポートも提供されつつある。

入会~6ヶ月後、あるいは1年後の継続率を管理指標(KPI)化して会員定着を推進するジムが多く、目標の目安としては、入会3ヶ月後の継続率90%、同6ヶ月後の継続率80%、同1年後の継続率60%を設定している。具体的な数値に落とし込んで管理することでどこがボトルネックかが正確に分かるため、対策もしやすくなる。

まとめ

自分のジムを安定して開業・経営していくためには、トレーナーとしての現場の知識だけでは難しい。マネージャー職やフランチャイズ店舗のオーナーを経験できればよいが、その地位に選ばれるためにも経営スキルは当然求められるだろう。書店でよく売られているような店舗運営・マーケティングの参考書を購入するのも一つの手ではあるが、まずは自分が属している業界の状況や経営が成功しているジムの事例を事細かに把握し、自分が経営したい/しているジムに似たコンセプトやスタイルを持つジムを徹底的に参考にすることが重要ではないだろうか。

フィットネスビジネス本誌では、そのような経営が成功しているジムの事例や業界の最新情報、海外の状況にいたるまでを網羅している。ぜひ一度手にとって、ジムの経営に役立ててほしい。