昨年11月25日に発売された『FitnessBusiness111号』。その内容をご紹介する第二弾では、新着トピックスを掲載する「News&Trends」および「Club Business International」のコーナーをご紹介します。後者は米国IHRSA『Club Business International』の記事を翻訳したもので、コロナ禍における米国のフィットネス業界の動きについて、知ることができます。
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【News&Trends】
カーブスホールディングス、コロナ禍の影響受けるも、回復基調へ
加盟店や会員サポートに尽力
カーブスホールディングスの’20年8月期決算(連結)は、売上高250.82億円(前年同月比▲10.5%)、営業利益11.67億円(同▲78.5%)、経常利益11.65億円(同▲77.8%)、純利益7.64億円(同79.4%)となった。
’20年6月から順次全店で感染予防策を徹底しながら営業を再開。第3四半期(’20年3~5月)に比べ、第4四半期(同年6~8月)は、休会からの復帰、新規入会増により実質会員数が増加。ロイヤルティなどの収入や直営店の売上高は回復傾向にある。また、会員向けの物販においては、プロテインの継続率が前年並みを維持したものの、新規販売を行っていないことから、第4四半期は前年同期比および第3四半期比で減収となった。
営業利益は、第4四半期に▲5.6億円となった。経費(販管費)のコストダウンを第4四半期で▲0.5億円、下期累計で▲1.0億円行ったが、FC加盟店への経営支援金、会員さまとの関係維持費用(広報・発行物など)、オンライン体操教室の開発投資、秋キャンペーンのプレマーケティングなど、戦略的な施策によるコストが第4四半期で13.9億円、下期累計で27億円かかった。
コロナ禍で会員減も徐々に回復基調へ
店舗数については、7月から新規出店(第4四半期出店数11店)も再開したが、その一方で、コロナショックの影響が大きい不採算店の閉店統合(同閉店数10店)を進めたため、2020店となった。
会員数については、過去のピーク期(’20年第1四半期)に約86万人いた会員数が’20年第3四半期には…(続きは誌面にてご覧ください)
FIA、感染予防業界ガイドライン改訂第8版を発表
一般社団法人日本フィットネス産業協会(以下、FIA)は、5月25日付けで感染予防策の指針として業界ガイドラインを発布し、感染予防の啓発に努めてきた。その後、フィットネス関連施設内のあらゆる環境を徹底的に国とともに検証を重ね、11月6日に改訂第8版として、最新の業界ガイドラインを発表した。
最新のガイドラインは、安全確保を第一優先にしつつ、少しでも新型コロナウイルス禍前の状況に近づけるよう配慮した内容となっている。以下に、今回の大きな改訂ポイントを記したい。
(1)マスクなどの着用について
この点については、今回も変わらず、あらためてマスクやネックゲイター着用を徹底することとなった。マウスシールドは明確に禁止となり、マスクやネックゲイターで鼻と口をしっかりと塞ぐことが重要となる。しかし、感覚過敏症やアレルギー反応などにより、その着用が困難な場合もあろう。やむを得ずフェイスシールドなどで鼻と口を覆う場合は、確実に最低2m以上の距離を確保し、会話を控えること。また、くしゃみや咳をすることを前提に、即時に口と鼻を、マスクやネックゲイターと同様に覆うことができるようにすること(タオルやハンカチを準備する)。
(2)ロッカーの間引き
ロッカーの間引きはなくすこととなったが、密を排除するためのルールを各施設の形状や設備に応じて策定し、徹底することが望ましい。対応例としては次のようなものがある。
①お客さまが使用するロッカーを選ぶ際は、できるだけ2m(最低1m)の範囲に更衣中の隣人がいないことを確認したうえで、空いているロッカーを確認して利用していただく。
②距離を確保したロッカーが空いていない場合、あるいはお客さまが利用しているロッカーの近くをほかのお客さまが利用する場合、マスクなどを着用のうえ…(続きは誌面にてご覧ください)
【Club Business International】
会員とともに危機を乗り越え絆を深める
理想の施設をオープンするもわずか8週間で休業に追い込まれる
1月18日、ケプル氏とスタイルズ氏は、アメリカ・イリノイ州ペオリアで、これまでにないアイテムを備えるクラブ、Styles Studio Fitnessをオープンさせた。しかし、わずか8週間後の3月18日、コロナの感染拡大により、休業を余儀なくされる。
「それでも私たちは止まりませんでした。むしろ、会員へのサービスを倍増させたのです。結果的にそれによって大きなリターンを得ることができました。このような状況でも真摯に会員に対応したことで、会員は施設へのロイヤルティを高めてくれたのです」(ケプル氏)
その後のStyles Studioは順調に運営を続けているが、このことは業界で相応のキャリアを積んできた2人のバックグラウンドによるところも大きいだろう。IHRSAメンバーであるケプル氏は、Gold’s Gym InternationalとLesMills Internationalで働いていた経験があり、スタイルズ氏はCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)を有し、スモールグループトレーニングの提供や、スポーツイベントビジネスを手がけていた。
さらに同氏は10年以上、Les Millsニュージーランドにてマスタートレーナーおよびプレゼンターとして活動すると同時に、ナショナルトレーニングマネジャーも務めていた。
Styles Studioは2人の理想や信念をかたちにしたもので、従来型の施設とブティッククラブの要素を組み合わせた施設となっており、4つのスタジオのほか、栄養指導を含めたトータルサービスを提供するジム、そして施設最大の特徴となるDexa Wellnessオフィスから成る。同オフィスは、VO2max(最大酸素摂取量)や基礎代謝量を測るシステムなど、医療レベルで分析できる高度な体組成計を備え、ユーザーのニーズや目標の実現に向け、あらゆる面からサポートする。
施設への反響は…(続きは誌面にてご覧ください)
オンラインサービス、コロナ禍で“差別化” から“必須”アイテムへ
コロナは、世界中のクラブに休業を余儀なくさせた。その間、多くの施設が継続して会員へサービスを届けるためとして急ぎバーチャルフィットネスの導入に取り組んだ結果、これまでクラブにとってあくまでも差別化要因であったアイテムが、今や当たり前となりつつある。
シカゴにあるThe East Bank Clubは、’19年の5月にEBCオンデマンドサービスを導入し、早くからバーチャルフィットネスを提供していたクラブの1つ。そのおかげで、今年3月にアメリカ中のクラブが休業を余儀なくされたときも、会員に引き続きレッスンを提供できたほか、その後、さらにストリーミング配信も開始している。同社のエグゼクティブディレクターであるメル・クレイ氏は、「この業界で生き残っていくためにも、デジタルプラットフォームを活用して会員に魅力的なインストラクターのレッスンを提供し続けることが大切です。そのことは同時に、会員がクラブ外でもエクササイズを楽しめることになり、利便性の向上にもつながります」と、その魅力を語る。
オンデマンドやストリーミングサービスは、クラブの新規立ち上げや提供サービス、リニューアルに新たな価値を追加してくれる。次より、IHRSAメンバーのなかから同サービスを提供するプロバイダーをいくつか紹介したい。
FitnessOnDemand
’20年3月、感染拡大の第一波がアメリカに押し寄せたとき、幸運にもFitnessOnDemandは、自宅にいる会員にもシームレスにジム体験を提供できるストリーミングサービス「FLEX」を新しくリリースしたところであった。「 FLEX」 は、SHIFT、Zumba、Daily Burn、Jillian Michaelsなどのプレミアムデジタルコンテンツに、クラブ外にいてもモバイルデバイスやPCからアクセスできるサービスだ。「感染拡大により、リアルと同等の質かつ豊富な種類のレッスンを会員に提供する…(続きは誌面にてご覧ください)