株式会社アライアンス(以下、アライアンス)はドイツ製のIoTフィットネスマシン「milon」や、大手フィットネスクラブでも導入が目立つ振動マシン「SONIX」を取り扱っている。そのなかで、さらなるヘルスケアソリューションとして「MEon」アプリをローンチした。自社オリジナルのサービスとして開発したが、すでに取り扱いしているmilonとの連携が可能で、運動データを自動で取得できることに強みをもつ。今後はAPIを駆使して、多種多様の健康データを自動で取り込めるようにしていき、「ヘルスケアステーション」としてのポジションを確立していくことを目指す。その取り組みについて訊いた。

高橋幸佑氏
株式会社アライアンス

健康一括管理を実現する ヘルスケアアプリをリリース

MEonのコンセプトは「健康管理の 一元化」だ。「今までは食事、ジムで の運動、さらに日常の活動量を管理す るにはアプリが個別に存在していまし たが、これらすべてに対応できるアプ リをつくれるのではないかと自社で構想し、MEonが誕生しました」と高橋氏は言う。

同社が提供するmilon製のマシンでトレーニングを行えば、そのデータが自動的に蓄積されていく仕組みがすでに存在していたが、この強みを活かすかたちでMEonを開発するに至った。ドイツmilon社の協力の下、完全にアライアンスのオリジナルのアプリでメイドインジャパンだ。日本の健康課題を解決するソリューションとして注目である。

運動、食事、日常生活のデータを蓄積し、活用を促す

MEonアプリ

現時点で利用可能な機能は、運動、食事、日々の活動量の管理。運動については、どのマシンで何キロのトレーニングを何回行ったのか、消費カロリーはいくつか、といったデータが自動で反映される仕組みになっている。カーディオマシンについては、クロストレーナーおよびバイクマシンに対応できている。

milon製のマシンでなくても、手動であればトレーニングデータを記録できるので、どのフィットネスクラブでもすぐに利用ができるアプリとなっている。有酸素運動であれば、腕時計型ウェアラブルデバイスのNobiを着用してランニングなどを屋外で行っても自動でデータを取得することができる。ウェイトトレーニングやカーディオのみならず、スタジオプログラムに参加したときの消費カロリーも、運動強度の単位であるMETsから算出が可能。スタジオを比較的頻繁に利用する女性にも嬉しい機能だろう。

次が食事。食事管理アプリ「foodcoach」とコネクトし、同じ機能をMEonユーザーは利用できる。食べ物を選択し、量を入力するだけで、自分が摂取したカロリーや栄養バランスを視覚的に把握することができる。自分に足りていない栄養素があれば、一目瞭然となる。それがスコアとして100点満点で表示されるうえに、AIでの食事アドバイスも行えるリッチな機能だ。

最後の日常生活においても、さきほど登場したNobiが活躍する。このウェアラブルデバイスを付けていれば、歩数、消費エネルギー、移動距離、血圧、心拍、睡眠といった日常のデータが取得できる。Nobiを連携デバイスとして選んだのは心拍、血圧の取得にこだわったからだ。生活習慣によって変動しやすい血圧を、スマートウォッチを腕につけている間はずっと計測できる。従来の血圧計では、その瞬間の血圧しかわからなかったが、この方法であれば血圧を推移として観察できる。心拍、血圧とともにストレス値も把握することができるため、メンタルのコンディション把握にも役立つであろう。

このように、健康を脅かすリスク因子は、意識的に見るようにしないと陰に隠れてしまう。それをすべて明るみに出すことで、健康意識を創出できる。

ヘルスケアプラットフォームとしてあらゆる機能をコネクトする

現時点ですでに、運動、食事、睡眠といった健康には欠かせない要素に対応したサービスとなっているが、今後はさらに、フィットネスクラブ、介護施設、ならびに医療施設などのニーズを吸収するかたちで、あらゆるアプリとAPIでコネクトすることがMEonの「ヘルスケアステーション構想」である。食事管理アプリ「food coach」のように、もしすでに、自社のアプリをもっているのであれば簡単にMEonと連携できるので、検討してみてはどうだろうか。

アライアンスがデザインするヘルスケア

アライアンスが日本総代理店として取り扱う最新型IoTマシンのmilonは整形外科、介護予防施設、リハビリ施設、そして一般のフィットネスクラブに多く導入されている。しかし、同社が提供するのはこれだけではない。例えば、音波振動マシンSONIX。身体が自由に動かせない状態からのリハビリにも利用され、動ける身体になったところでmilonも利用するという流れをつくれる。

「健康課題を解決するには分析結果から評価・改善を行うサイクルを作り出す必要があります」と高橋氏は断言する。まずは現状把握と目標の設定。milonのミロナイザーというデバイスを使えば、バランス、俊敏性、ジャンプ力、柔軟性および可動域が計測できる。milonマシンには最大筋力を計れる機能があり、これらを組み合わせて現在地からなりたい姿への道筋に沿って、トレーナーやマシンデバイスからアドバイスを送る。

そのアドバイスには日々の食事や生活習慣も含まれるため、MEonの出番だ。そして、データが蓄積されたところで分析を行い、またトレーニングに励んでいくなかで、目標を達成していく。このサイクルを生み出せるソリューションを提供するのがアライアンスの強みで、従来の健康サービスに対して優位性がある。健康寿命の延伸や社会保障費の削減などにも貢献している。

アライアンスが目指す究極のヘルスケアとは

MEonは今後、さらなる進化を目指している。大きく分けて2つの軸で、1つは家でのデータ取得の拡充である。具体的には、IoT家電等と連携し、食事の摂取量やバランスの自動推計や口腔ケア、睡眠などの生活全体との連携などだ。こちらについてはすでに一部取り組みを開始しているものもある。

もう1つは医療データとの連携だ。電子カルテや健康診断の結果と運動・食事の記録を紐づければヘルスケア領域においてこの上なく有意義なデータとなるであろう。

つまりは、家、ジム、病院で取れるすべてのデータの架け橋となるのがmilonとMEonのタッグというわけだ。

アライアンスが見据える今後のビジョン

新規オープンするフィットネスクラブがmilonを導入する場合には、MEonおよびNobiをパッケージとして組み込むことで普及をしていく。加えて、体組成計とも連携を開始した。ハードウェアについても、将来的には特定のメーカーの製品でなくともスムースに連携ができるようにする。

ちょうど2022年1月にオープンしたばかりの小田急電鉄が運営する「4Hfitness」でもこれらの導入が決定。さらに導入店舗を増やしていくことで、5年後を目途に合計で100店舗まで広げていくことを目指す。また、一般企業や自治体にも普及させることで、健康経営のサポートや地域の健康増進にも寄与していく。アライアンスはヘルスケアの最先端を走り続ける。

MEonによるヘルスケアステーション構想