Les Mills Japan(以下、レズミルズ)でオペレーションダイレクターを務めるリー・ニュエン氏はニュージーランド本社と日本で10年以上に渡って活躍している。新市場の開拓や推進、そしてテクノロジーの領域に精通していながら、フィットネスクラブやインストラクターの日々のオペレーションのサポート、そして組織づくりまでこなすキーパーソンだ。取材を進めていくなかで、強いビジネスに必要不可欠な組織の在り方が見えてきた。「より健康的な世界を創造する」という共通のビジョンに向かって日々フィットネスクラブを支える会社こそがレズミルズだ。

リー・ニュエン氏
Les Mills Japan オペレーションダイレクター

人々を健康に、人生をより良いものに “Fitter Planet” が会社のビジョン

レズミルズは今やグローバルにフィットネスサービスを展開しているが、実は家族経営からスタート。そこから世界的な組織にまで発展できたのはなぜだろうか? リー氏はこう話す。

「“Fitter Planet”(より健康的な世界を創造する)という壮大なビジョンを創業当初から掲げ、それを今も継承し続けている会社に強い誇りを感じています。人助けや社会貢献を盛り込んだ明確なビジョンは社員の指標になり、それによって組織がまとまるのです」

明確なビジョンがあると、それに共感する優秀な人材が集まり、世界に通用する強い組織ができるというわけだ。

自社のみならず、フィットネスクラブのビジョン実現と組織づくりのために、レズミルズとしてのサポートを日々模索することも同氏の仕事だ。

世の中が変化すれば組織やサービスも変化する

新型コロナウイルス(以下、コロナ)による社会情勢の変化、テクノロジーの進化、そして世界のフィットネス動向にいち早く対応して、レズミルズは組織もサービスも強くなり続けている。

まず組織。オンラインが主流になったが、”オンライン疲れ”や聞き間違いや誤解を防ぐために直接会って話をすることも重視しており、コロナの状況に応じて可能な場合には社員同士でコーヒーやランチをすることを推奨した。やはりオンラインだけではお互いの信頼関係を築いていくのは困難なためだ。

サービスについては、従来のジムのスタジオに加え、いつでもどこでも利用できるオンラインサービスを拡大し、時代の変化に対して後れを取らずに対応している。

同社のオンラインサービスは社内でも活用されており、ライブ配信を通して社員同士がエクササイズを行う機会を設けている。これにより、組織の結束力を高めることができたという。

「仕事は楽しくないと、ただ生活するためにお金を稼ぐ手段になってしまいます。そのようなモチベーションの組織ではいいサービスを提供することはできません」とリー氏は言い切る。

信頼関係が構築できていれば 意見が異なるときも組織は安定する

強いビジネスの土台の構成要素で、最も重要なのは「人」だ。人が集まってできるのが組織だが、そこには信頼関係がなくてはならない。なぜなら、組織は多様なバックグランド、そして異なる性格の人たちで形成されるため、意見の不一致は当然生まれる。しかし大切なことは、お互いがどんなに衝突しても最後には尊重し合える間柄であるか否か。世界中に強い組織を形成してきた同社が言うと、まるで説得力が違う。

リー氏は数多くのプロジェクトに携わるなかでも、組織を強くすることに一番のやりがいを感じ、それを専門領域として社内で活動している。

レズミルズのサービスは人を主役として設計

間違いなくフィットネスクラブでも『人』が最も重要だ。

フィットネスクラブのスタジオでのプレコリオプログラム、バーチャルプログラム、そしてライブ配信やLESMILLS CONTENTなどのオンラインサービスを組み合わせて提供することで、クラブの会員さまはいつでもどこでもフィットネスを楽しむ環境を手に入れることができた。レズミルズでは、このようなあらゆる側面のサービス提供とそれに伴うサポートを「すべての生活シーンにグループフィットネスを(Ultimate Group Fitness Solution)」と称し、取り組みを始めている。

会員さまとフィットネスクラブの接点がテクノロジーを通じて今まで以上に多くなり、コロナでクラブに足を運べない期間でも信頼関係を構築しながらコミュニティを形成することができるようになった。しかし、リー氏は言う。

「ただ、やはりフィットネスクラブの会員さまが本当に求めているのはリアルの体験です。テクノロジーの利便性は確かに高いですし、我々に選択肢を与えてくれるものですが、スタジオに足を運んで、ライブクラスの環境で人々とつながることを多くの人が欲しているのです」

そのときもレズミルズのプログラムがあれば、スタッフは会員さまを温かく迎えることができる。同社の力を借りながら、自分たちのクラブを、人と人のつながりの強いコミュニティへと育てていこうではないか。