会員制健康ビジネス専門のコンサルタント、田村真二氏にフィットネスビジネス・マーケティング戦略を連載でご紹介いただいている本稿。連載85回目は、「IHRSA2021に観る、オンラインで海外最新情報を仕入れることの価値」について紹介する。業績改善につながる気づきが得られるだろう。 

10月ダラス。ケネス・クーパー博士(90)がIHRSA2021基調講演に登壇するや否や、会場はスタンディングオベーションとなった。スーツ姿に身をくるみ、マシンガンのような早口で40分強、立ちっぱなしのままスピーチを続ける姿を、会場および世界各地からオンラインで参加した視聴者らが目にした…。

こんにちは田村です。世界最大級のフィットネスコンベンション「IHRSA2021」が10月13日~15日(日本時間14~16日)、2年半ぶりにダラス(アメリカ・テキサス州)で開催されました。昨年は直前に新型コロナが襲い、開催キャンセル。今回は、現地および初の100%オンラインによる同時開催。私は毎年現地を訪問していましたが、今回は自宅からオンラインで参加しました。

2日目朝の基調講演では、「エアロビクスの父」と呼ばれるケネス・クーパー博士の「予防医学・病気を予防することは、治療法を見つけることよりも有益で費用対効果が高い」をオンラインで聴講。ここ数年来の、「人生100年時代の到来にどう健康で生きるか」という課題に対する指針を示してくれました。

IHRSAコンベンションを毎年現地訪問していると、「あまり代わり映えしないな」と思う年もありましたが、今回は違いました。海外の最新情報の収集という点においていうならば、今後は現地訪問よりもむしろ「オンラインの方がいい」といえる内容です。

本稿では、「IHRSA2021に観る、オンラインで海外最新情報を仕入れることの価値」について様々な角度からお伝えします。

DX は単なるIT 導入ではない

IHRSA2021は現地開催の内容を単にオンラインで配信する、といったものではありません。デジタル技術を採用した、コンベンションの根本的なビジネスモデルの変革を目指していることが、はっきりうかがえました。つまり、コンベンションのコアの部分をデジタライズする、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みです。

ここ数年、日本でも今後の経営にDXが不可避との認識は、どの業界(や政府・自治