株式会社hacomonoで代表取締役を務める蓮田さんのビジョンはフィットネスクラブの体験価値を高め、日本のフィットネス人口を増加させることだ。その一助となるべく、フィットネスクラブ向けのSaaSとしてhacomonoを2019年から提供開始し、’21年には5億円という大型の資金調達も実施。
社名は従来のまちいろからhacomonoへ、プロダクト名と統一するかたちで変更している。フィットネス業界のなかで新進気鋭の同社を率いる、蓮田さんを深堀りしていく。
エンジニア、デザイナーとしてキャリアをスタート
蓮田さんは’00年に青山学院大学を卒業後、ソフトウェア開発会社に就職する。大学時代は体育会サッカー部に所属していたものの、ファーストキャリアはフィットネス業界ではなくIT業界でエンジニア兼デザイナーとしてスタートする。
「大きく2つのプロダクト開発を経験しました。中小企業向けのワークフローシステムと、そこからさらに発展させた大企業向けのワークフローシステムです」と当時を振り返る。
蓮田さんは、この2つめの開発時に、苦労したという。
「1つめのワークフローシステムは業界最大手と言えるまでに成長させることができました。しかし2つめのプロダクトは待てど暮らせど開発が進まなかったのです」。
このとき、多数のエンジニアと著名なプロダクトマネージャーに外注をしていた。今でこそアジャイル開発という最小限の機能を徐々に完成させる手法が普及してきたが、当時はウォーターフォール開発という最初から完成形を目指すやり方が取られていた。
「結局1年以上経ってもプロダクトは出来上がらないし、当時いた会社に損害も与えてしまっていて苦労をしました」。
さらに、プロダクトの完成前にすでにクライアントがついてしまっていたので、何としても完成させなければならなかった。
「最終的に、一から私含めて3人でつくり直しました。半年間くらいは会社に泊まり込むような生活が続きましたね」と穏やかな表情で話していたが、当時の苦労が容易に想像できる。
「今思えば、いい経験でした。机上の空論だけでプロダクトをつくるようなこともなくなりました」と蓮田さんは話す。
しかし、得たものはそれだけではなかった。実は、当時一緒に開発した2人が、現在はhacomonoの役員として在籍している。同じ境遇を経験した仲間なので、信頼も厚いわけだ。