新型コロナによる規制が緩和されつつある今、フィットネス業界では、既存の事業やサービスの立て直しに取り組んでいる事業者が多い。もちろん、コロナ前の基準に戻すことも大切ではある。しかし、市場が広がりにくくなっている今こそ、新規事業やサービスを創出することで、フィットネス業界に新しい価値を生み出し、未顧客を取り込んでいくことが求められるのではないか。

本記事では、Fitness Business122号にもご登場いただいた、株式会社ローンディール最高戦略責任者(CSO)細野氏が推奨するリーンマネジメントを基に、その方法について考える。

リーンマネジメントとは

リーンマネジメントとは、「顧客起点」でゴールを設定し、ゴール到達までの無駄を排除(リソースの節約)しながら、事業やサービスを最大限に高めるための継続的なプロセスのことを指す。リーンは、英語でLeanと表し、日本語に訳すると、「贅肉が取れた」「均整のとれた」という意味で、企業経営においても投資する部分には投資し、削る部分は徹底的に削るといったメリハリが大切なのである。

リーンマネジメントの軸の一つに、リーンスタートアップがある。リーンスタートアップとは、米国の起業家、エリック・リース氏が開発した、本格的な事業を始める前に、小さく実験を行い、顧客の反応を見ながら「真のニーズ」を発見し、プロダクトの開発を進めていく手法を指す。

新規事業を始める前や既存事業を変革させる前には、いきなり大きな計画を実行し、引き戻せなくなる前に、低コストで小さな実験を繰り返し行うことで、顧客が本当に求めていることを捉え、事業をスケールさせていくことができるのだ。

既存事業の変革や新規事業をスケールさせていくためには?

細野氏は、リクルートで、リクナビNEXTの開発、販促、商品企画を経験した後、新規事業開発を担当。その後、リクルートエージェントの事業モデル変革に取り組み、1年間で100億円の売り上げアップを実現し、リクルートキャリア執行役員兼リクナビNEXT編集長に。2017年、自身がヘビーユーザーであった音楽コラボアプリ「nana」を運営するnanamusicに転職、月8,000万円もの赤字事業を2年半で黒字化している。

まさに、新規事業の創出や既存事業変革のスペシャリストである。Fitness Business122号にて細野氏は、フィットネス業界に対し、「実験的なアプローチをして潜在的なニーズを明らかにしてから事業に取り組もうという発想が薄いのではないでしょうか。別の言い方をすると、勝ちパターンを上層部が決めて、あとは現場のスタッフがそのオペレーションを回すというやり方に傾倒しているのではないでしょうか」と話している。さらに「市場が成熟化した今、それでは成長できません。それに代わる新たな業態・サービスを見つける方法を身につけていくことが求められているのではないでしょうか」と述べている。

細野氏は、事業を創出し、スケールさせていくために、

・イノベーションを身に着けること
・業界の常識を捨て、「脱平凡」の発想をすること
・ゴールを決めたら、小さな実験を繰り返し行い「真の顧客価値」を知ること

などを重要なポイントとして挙げている。
こういったポイントを具体的にどのようにビジネスモデルに落とし込み、成長させていくかが大切になる。

細野氏が、これまで自身の経験をもとに実施している「リーンマネジメント講座」は、明日すぐに取り組める内容が盛りだくさんで、省庁や大企業のマネジメント層に好評だ。

フィットネスビジネス編集部でも、2022年10月25日(火)午後6時30分より、細野氏のセミナーを開催予定!細野氏の経験則に基づいたリアルな講演を聴くことができる。

既存の事業に限界を感じている。何か新しい事業を開始したいが、なかなか良い案が浮かばないという方は、ぜひ参加していただきたい。