株式会社ルネサンス(以下、ルネサンス)では、ビジネスリレーション部という、会社全体の生産性向上をミッションとする専門部署が存在する。様々な方法で業務の効率化、改善を模索する同部署で課長を務める中田敬介氏は7年以上に渡り部のメンバーと共に、縁の下の力持ちとして企業価値の向上を支えてきた。デジタルの活用が生産性向上のキーポイントとなるなかで、今後も見据えて2022年6月よりラクスル株式会社(以下、ラクスル)が提供するラクスル エンタープライズを導入。まだ初期段階ながらも業務時間の削減を実現している。

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    株式会社ルネサンス
    ビジネスリレーション部 業務支援チーム 課長
    中田敬介氏

全社的な生産性向上を推進する専門部隊の立ち上げ

ルネサンスはスポーツクラブだけでも国内外に100店舗以上展開している上場企業。会社の規模や店舗数の増加に比例して、お客さまへのサービス提供以外に様々な仕事が増えてくる。いわゆるバックヤード業務である。大きな事業を支えるうえで欠かせない部分ではありながらも、なるべくスリムに運営できるに越したことはない。

そこで、2015年に業務センター室という、業務効率化を推進する部署がルネサンスに誕生した。現在はビジネスリレーション部と名称を変更しているが、当時の流れをそのまま引き継ぎつつ、機能も拡大している。

「2018~19年頃は、RPAツールを導入する流れが特に活発な時期でした。要するに、今まで人の手を介して行っていた入力作業などを、ソフトウェアロボットが代わりに担うということです。例えば、数年前までは各店舗の締め作業で必ず基幹システム経由で帳票を出力し、それをファイリングするという業務が行われていました。RPAツール導入によって、すでに本部に集約していた当該業務を自動化することにもつながっています」と中田氏は説明する。ルネサンスでは、すでにかなり広範囲な業務をRPAツールを活用することで効率化を実現できている。

いかに紙を削減するかが運営をスリム化するポイント

これまでのビジネスリレーション部の業務効率化の取り組みを訊いていくと、業務時間を圧縮するためには紙からデジタルへ移行することが1つの重要なポイントであることが見えてきた。

なぜ、この点が重要なのか、具体的な事例はあるのだろうか。「例えば、店舗では毎日のように発生する忘れ物への対応業務を、従来は紙で行っていました。つまり忘れ物台帳に、日付、忘れ物の特徴、引き渡しが完了しているか否か、などを記録して管理していたのです。しかも、忘れ物を都度保管ボックスから取り出してお客さまに目で現物を確認してもらう必要がありました。しかし、ノーコードツールというプログラミング不要な方法でアプリを構築して解決することができました」と中田氏は話す。このアプリのおかげで、iPadで忘れ物の管理を実現し、お客さまには写真を見て自分のものかどうかを確認してもらえるので、本当の持ち主が現れない限りは現物を取り出さなくとも済むようになった。

紙とデジタルの一番の違いは、情報へのアクセス性だろう。つまり、紙であれば、紙1枚ないしノート1冊を全員で手書きで管理する必要があるが、デジタルであれば様々な端末から入力・管理ができ、情報がすぐに反映される。しかも、忘れ物をキーワードで検索できるので、利便性が高まるということも容易に想像がつく。ぜひ、DX化を進めていくうえで、どうすれば既存業務の紙をなくすことができるのかという視点で取り組んでみることを勧めたい。

業務を450時間削減する販促×請求業務の一本化

紙の削減による利便性とアクセス性の向上で業務を効率化する事例を見てきたが、一方で業務そのものを減らすという観点でもそれは実現できる。その代表例として、ルネサンスが採用したのがラクスル エンタープライズという販促業務DX化サービス。ラクスルと言えば、印刷物を簡単に発注することができるプラットフォームとして知られる。フィットネスクラブの場合は、新規顧客獲得を目指したポスティング用のチラシ作成のために利用することが多いのではないだろうか?

「ルネサンスとしても、ラクスルのサービス自体は以前から使っていました。嬉しいのは、発注から納品までのスピードの速さですね。弊社の場合は、企業さまや自治体さま向けの運動プログラムを提供するときに必要な資料をラクスルさんにお願いするケースも多くあります」と中田氏は言う。

では、話をラクスル エンタープライズに戻そう。こちらは大企業向けのサービスで、印刷物のデータの管理や、印刷に関わる請求業務を一元管理することができるデジタルソリューションである。

ルネサンスの場合は、まず請求の一本化に絞って利用を進めている。

「まだ導入して数ヶ月ですが、データを見ると、1ヶ月あたり印刷会社へ依頼している店舗が平均で50店舗あることがわかりました。よって我々の試算では、この業務の集約により、1年間で約450時間の業務を圧縮することが可能になります。今後も利用する店舗数が増えれば、さらにその圧縮幅は増えるので、導入を決めました」と中田氏は言う。ビジネスリレーション部ではこの業務の効率化を模索していたが、ついに最適なツールと巡り合えた。

具体的な運用フローは、どのように変化したのだろうか?

「従来であれば、各店舗が追加販促用のチラシや館内ポスター、配布用のフライヤーなどのクリエイティブを自作し、印刷会社へ発注をし、請求書処理業務まで行っていました。店舗ごとのため、それに対応する経理財務部の業務も件数に比例して増えるわけです。ラクスル エンタープライズ導入後は、この請求書処理業務を本部に集約し、支払いを一本化することができました。そのため、時間短縮に加えて振込が1回で済むので、その分のコストの削減も実現できています」と中田氏は語る。

つまり、現場と本部の業務時間を削減しつつ、金銭的なメリットもあるということだ。導入に際しても、現場での請求書処理業務がなくなることが受け入れられやすかったと中田氏は振り返っている。

販促データやノウハウを各店舗に水平展開も可能

請求の一本化によるメリットの大きさを今まで見てきたが、ラクスル エンタープライズの備える機能はこれだけではない。中田氏に、今後の活用の可能性を伺った。

「販促そのものの効果を高める機能ですね。今でも私たちは各店舗で販促用チラシのデザイン選択や可変部分の内容を支配人が中心となって決めています。今までに、いつ、どのようなチラシを、何枚配って、どのくらいの反応があったのか、という情報をExcelで管理し、その情報を店舗内で引き継いでいます。ラクスル エンタープライズの機能を活用すれば他店舗の情報もラクスル エンタープライズ上でデザインも含めて共有することができ、より効果の高い販促物をピックアップして活用することにつなげられると考えています」と中田氏は答えてくれた。

他社での知見も取り入れられる集客支援サポートの魅力

さらにラクスルでは、人的サポートも充実している。ラクスル エンタープライズのカスタマーサクセスとは、別の部隊が集客のノウハウをコンサルティングしてくれる。こちらは有償ではあるが、それによって新規顧客を多く獲得できるのであれば、支払う価値は大いにあるだろう。

「ラクスル エンタープライズは、すでに800社を超える企業にご導入いただいております。多くの企業のご支援をさせていただくなかで蓄えてきた知見を活かし、どのようなクリエイティブがターゲットとされる人の心を動かして行動を促せるのか、より反響の出る配布タイミング、伝えたい内容別にチラシや冊子の使い分けなどをご提案し、どのように販促の効果を検証していけばよいかも含め、より販促効果を高めるお力添えができればと思っております」とラクスルでルネサンスを担当する古川玄氏は熱く話す。

中田氏はそれに対し、「すべてをラクスルさんにお任せしてしまうと、逆にルネサンスにノウハウが残らないということにもなりかねないので、いい塩梅で協業していくことが理想のかたちです。先ほど出てきたExcelの『販促企画書』の過去データも参考にしながら販促計画を検討するようにしています」と付け加える。

スポーツクラブ運営を効率的に会員へのサービスは手厚く

「業務を効率化することが我々のミッションですが、今ある業務を完全になくすことはなかなか難しいと思います。運用フローを変えたり、ツールを導入することで改善していくことが現実的ですね。そのような取り組みの積み重ねで今後も業務を全社で圧縮し、対面でのサービス提供に注力する時間を創出していきたいと考えています。弊社もオンラインのサービスを展開してはいますが、やはりリアルにしかない価値もあると思いますので、そこには今後もこだわっていきたいです」と中田氏はスポーツクラブ事業の今後の展望について話す。

ラクスルをはじめとしたパートナー企業と手を取り合って、その実現を裏側から支えていく。