米国とカナダに160以上の総合フィットネスクラブを展開する「LIFE TIME FITNESS」(以下、ライフタイム)が、コロナ禍を経て、出店を加速させている。2022年9月8日にニューヨークのウォール街にオープンした「LIFE TIME ONE WALL STREET」に続き、さらに4クラブの出店を計画している。

同クラブの施設構成と、2021年12月号のNEXTで紹介した「世界の注目フィットネスクラブ10選」に共通する施設・サービスから、アフターコロナのフィットネ ストレンドを探る。

TREND❶広いラウンジを、コワーキングスペースとしても活用

エントランス周りに、広いラウンジがあり、ゆったりくつろげるソファや、 仕事ができるテーブルが配置され、ホテルのエントランスや、コワーキングスペースのような空間づくりをしている。以前セールス担当者がいたスペースが解放的なオープンスペースになり、居心地のいい空間となっている。香りや、音楽、アートを飾るなど、五感で体験価値が感じられるよ
うな演出もされている。

TREND❷エントランス近くに、カフェレストラン。朝食から、夜はバーにも

総合クラブでは、カフェレストランを付帯するのがスタンダードになってきており、朝食から、ランチ、夜食まで対応。夜にはお酒を出すところも多い。メニューは、健康やパフォーマンスアップに配慮した内容。このスペースは、メンバー以外の方も利用できるようにするクラブもあれば、あえてメンバーだけが使えるスペースとして付加価値にするクラブもある。クラブの社交イベントなどにも利用されている。

TREND❸リハビリ対応可能な、メディカルサービスを付帯

理学療法士が常駐して、運動療法を提供するサービスカウンターが設置されている。欧米では、理学療法士が開業できるため、そうしたメディ カルフィットネスサービスを提供する企業にテナントとして入ってもらって いるケースも少なくない。

TREND❹アセスメント/カウンセリングサービスを拡充

入会時や、コロナ禍で一度クラブを離れた人向けのアセスメントやカウンセリングを充実させてきている。体重や身体組成だけでなく、姿勢や関節の状態など、身体の機能を測定して、個別のメニューをつくるなど、 アセスメントの内容も拡充させている。

TREND❺ジムスペースは、 マシンエリアは縮小、フリースペースが拡大

ジムスペースは「マシンエリア」「ファンクショナルトレーニングエリア」「オリンピックリフティングエリア」に分かれている。「マシンエリア」は縮小し、マシンの台数も、カーディオマシン、ストレングスマシンともに減っている。

「ファンクショナルトレーニングエリア」は、サスペンショントレーニングや、ロープトレーニングなどもできるステーションが設置され、パーソナルトレーニングとともに、グループトレーニングも行えるスペースが確保されている。
メディカルサービスと連携できるように、マッサージベッドも数台設置されるようになってきている。

「オリンピックリフティングエリア」は、パワーラックが5台程度並べられ ており、バーベルとウェイトとともに、ベンチやダンベルなどのフリーウェイトも豊富にある。プライオメトリクス用のボックスもあり、パワー系のトレーニングが行えるようになっている。ライフタイムでは、このエリアでクロスフィット系のHIITトレーニングを実施している。

TREND❻スタジオはプログラムごとに、 ブティックスタジオのようにブランディング

ライフタイムフィットネスは、6スタジオあり「、筋トレ系」「カーディオ系」「ヨガ」「ホットヨガ」「バースタジオ」「スピニング」と、それぞれ専門スタジオとして備品などが常設されている。それぞれのプログラムは、ロゴもあり、ブランディングされている。

スタジオの待ちスペースを囲むようにスタジオが配置されており、待ちスペースには大きなデジタルサイネージが取り付けられており、提携メーカーの広告などが流れていた。デジタルサイネージはクラブイベントの告知などにも利用されている。

TREND❼スパ/サウナの充実

コロナ禍でメンタルの不調を感じる人も増えており、身体だけでなく、気持ちも癒せるスパサービスやサウナのサービスを拡充している。
スパは、オイルマッサージや、鍼灸・指圧などのサービス。サウナはドライサウナ、ミストサウナなど。ロッカールームの先に、水着で利用できる温浴施設を付帯するクラブもある。

TREND❽デジタルプログラム

LIFE TIMEの会員になると、プラス月会費15ドルで、「デジタル会員」に入会でき、クラブに行けないときでも、クラブとの繋がりを持つことができる。

デジタル会員に含まれるものは「、ライブストリーミングクラス」「バーチャルトレーニングクラス」「オンデ マンドクラス」「2ヶ月間の食事プログラム」「ライフスタイルプログラム」「メディテーションプログラム」

TREND❾月会費は250ドル前後 他のクラブも共通利用できるようにしてグループ全体で体験価値を高める

ライフタイムフィットネスの場合、月会費は250ドルで、家族は1人あたり+月100ドル。最低契約期間はなく、ひと月前の告知で退会できる。

プールがないクラブや、付帯する設備がクラブによって違うことから、全店共通利用できる設定で、多様なニーズに応えていく。

TREND❿NYでは、ビルごとにマーケティング

NYのライフタイムは、新しい高層ビルのオープンとともに、新店をオープン。そのビルに居住する人や、そのビルで働く人が、メンバーのほとんどを占めていると思われる。

レジデンシャルビルでは、クラブのエントランスとは別に、そのビルの居住者専用フロントもある。「フィットネスクラブ」としてだけでな く、「コミュニティ」として、会員制の利用価値を高めている。