フィットネスクラブでマーケティングをしているのであれば、「オムニチャネル」という言葉を知っているだろう。2010年に調査会社のIDC(International Data Corporation) が初めて作った造語で、従来の実店舗から、電子メール、オンラインショッピングまで、あらゆるプラットフォームで顧客がアクセスできるショッピング体験を意味する。テレビや印刷物、webサイト、ソーシャルメディア、電子メール、看板、ディスプレイ広告など、複数のメディアチャネルを使用して顧客や見込み客とコミュニケーションをとる「マルチチャネル」とは違うものを意味している

お客さまを中心に、声をひとつに

オムニチャネルは、顧客や見込み客のカスタマージャーニーにおいて、チャネル間をシームレスに移動することを可能にする。つまりwebサイトやFacebookやInstagramのアカウント、その他のチャネル、または店舗にいるときでも、顧客の体験は同じになる。

「一貫性は重要ですが、だからといってコンテンツや画像を複数のチャネルで繰り返す必要はありません」と、アクティブウェルネスとBMC3のCEOであるビル・マクブライド氏は言う。

「すべてのマーケティングは、ブランドにとって真実である『同じ声』で行われるべきです。しかし、消費者とチャネルに応じて、それぞれ異なる会話、異なる方法でストーリーを伝える必要があります。デジタル・マーケティングとソーシャルメディアは、消費者のことをよりよく知るとともに、適応的な反復を可能にします。これは、事実上、オムニチャネルの『サラウンド・サウンド』であり、消費者の嗜好の変化に応じてメッセージを変化させることができます。要するにマルチチャネルが製品やサービスを中心に展開するものであるのに対し、オムニチャネルは顧客をマーケティング戦略の中心に据えているのです」

パンデミックによる機会

パンデミックは、オムニチャネル・マーケティングに関連する技術的進歩を後押しした側面もある。消費者が外出を控えるようになったため、企業は消費者にオンラインで接触し、交流や購入を容易にする方法を見つけ、可能な限り「摩擦のない」体験を作