フィットネスクラブを運営する事業者にとって、永遠のテーマとも言えるのが、いかにして会員もしくはビジターに施設へ足を運んでもらうかということだろう。ライフスタイルや行動の変化が目まぐるしい昨今の世の中で、顧客の心を掴むためには、どうすればよいのだろうか?

一般社団法人日本スポーツ支援機構(以下、JSSO)では、日本のスポーツ活性化を目的として様々な事業活動を行っている。その中に施設コンサルティングがあり、集客や顧客の継続率に悩みを持つフィットネスクラブやスポーツ施設に各種サポートを実施してきた。その知見を、JSSO代表理事であり、15年以上に渡ってコンサルティングを行ってきた水藤英司氏が8月に開催されたSPORTEC2023のセミナーにて紹介。本記事は、その内容の抄録として掲載する。

 

顧客ピラミッドから分析する集客の難易度別アプローチ法

「フィットネスクラブは、メンバーになっていただく必要があるビジネスです。これは、図1の顧客ピラミッドを見てもわかるとおり、非常に集客のハードルが高いのです」と水藤氏はまず、こう切り出した。

商圏内にいる見込み客に対して、チラシをポスティングしたり、駅前でティッシュを配るなどの集客施策をし ている施設は多いだろう。また、SEOおよびMEO対策、web広告運用、SNS活用などのweb集客をしっかりと実践しているところも、近年は増えてきている。ただ、集客の本質は「どのような方法で集めるか」ではなく「しっかりと顧客ピラミッドを意識したアプローチが適切になされているか」であろう。

「私が支援する施設の集客状況が芳しくない場合は、イベントや体験会などの開催で、見込み顧客から初めての購買者へと育成していくアプローチをオススメしています。そこで顔見知りになったところでセールスを行い、リピーターからメンバーへとステップアップしていくと、一見遠回りのように見えますが、会員になろうか迷っている人にとっては、負担の少ない親切なアプローチだと言えます」と水藤氏は説明する。

そして、この会員になるための決め手は「顧客満足度」の高さ。どんなにセールストークがうまくても、顧客の期待を上回るほどの充実したサービスでなければ獲得は難しいし、仮に運よく獲得できたとしても、すぐに愛想