株式会社FURDIはじめフィットネス企業3社へ資金提供するi-nest capital株式会社の目線

企業成長のためには、必要な資金を確保することが不可欠だ。従来の銀行を中心とした金融機関の融資に加えて、近年では「有望なビジネスそのもの」に、複数の投資家から資金を募りファンドを組成し、その資金を出資し成長を導く投資会社、ベンチャーキャピタル(VC)が、わが国の経済成長戦略を支えている。本稿では、株式会社FURDIはじめフィットネスビジネス3企業に資金を提供するVC「i-nest capital株式会社」の投資目線を代表パートナー山中卓氏に取材した。

  • i-nest capital株式会社 代表パートナー
    山中 卓氏

テクノロジー活用による新たなライフスタイル創造へ

年初早々2024年1月14日に「株式会社FURDI」(以下、FURDI)が資金調達を実行したというニュースが飛び込んできた。FURDIは、大画面モニター1つで運動メニュー指導から運動履歴管理までを行うDX化を図った、女性専用AIパーソナルトレーニングジムで、現在全国61店舗(FC54店・直営7店)を展開している。同社はさらなる国内外の店舗展開で、より成長を描くことを目指しているが、その戦略を支えるパートナーとなったのがi-nest capital株式会社(アイ・ネスト・キャピタル、以下、i-nest capital)である。同社1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」を通じ、株式会社FURDIへの出資を実行した。

i-nest capitalは、ビジネス誌『Forbes JAPAN』2024年1月号で、「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」の4位にランキングされた山中卓氏が率いるVCで、図の3分野を投資領域としている。

◆図 i-nest capitalの3つの投資領域

同社の最大の特徴は、IT利活用・デジタル化による高成長を目指す起業家の事業に着目していることで、IT技術を活かして新産業の創造や、社会課題の解決を目指す事業を支援し新たなコミュニケーションや生活面での利便性の向上が生む事業創造を目指している。

2019年12月から4年間で、42社への投資を実行し、その内、3社の株式上場、2社のM&Aが実現している。投資企業は投資領域の中でも多岐に渡る事業分野で、ベンチャーの成長を導くために経営・事業支援に関与していくハンズオン型のスタンスをとっているのもi-nest capitalの特徴である。

実はi-nest capitalのフィットネスビジネス領域への投資は、FURDIが初めてではない。2020年12月に株式会社LEAN BODY、2021年1月に株式会社ファノーヴァへ資金提供を実行している(表)。

◆表 i-nest capital株式会社によるフィットネス関連企業への出資実績(出資実行順)

株式会社LEAN BODYは、フィットネス動画のサブスクリプションサービス企業である。2020年12月の投資実行時はコロナ禍の真っただ中で、フィットネスクラブに通うことのできないユーザーがサービスを利用し、その盛況ぶりには目を見張るものがあったという。現在でも日本最大級の動画サービスとして、ビリーズブートキャンプで一斉を風靡したビリー氏をはじめ人気インストラクター40人の動画が配信され、受講回数はトータルで1千万回を超えている。

もう1社がOMO(Online Merges with Offline)型セミパーソナルジム「FLATTE(フラッテ)」を展開する株式会社ファノーヴァだ。FLATTEは、駒沢大学、豪徳寺の2箇所に店舗を構えている。OMOというように、オンラインとリアルどちらでもレッスンを受けられるハイブリッド型サービスを提供しており、スタッフとのコミュニケーションもLINEとして容易化し、“宅トレ”も可能で、その運動履歴が常にスマホに記録される。FLATTEはサービス内容のさらなるDX化をi-nest capitalの支援の基で行ってきた。ついに多店舗展開へと進む段階となっており、FCシステムを活用しながら進めていく方針だ。

これら2社は明らかなベンチャー企業であるが、FURDIはすでにFCによる店舗展開も進んでおり、i-nest capitalにおいては、IPO(Initial Public Offering)つまり新規株式公開を狙う事業規模をもつフィットネス事業者としては、i-nest capitalでの初めての投資先である。現状の61店舗に留まらず、さらなる成長に対する期待値と、投資判断をどのように見ているのか。まずはi-nest capitalの業界目線から見ていきたい。