ミヤウェルネスとTechnogymがコラボレーション

入会も大切だが、継続も大切だ。メンバーに、「気がついたら、クラブに通うのが習慣になっているな」という気づきを与えるには、どのようなカスタマージャーニーが描けるとよいのだろうか?それを実現するためには、どのようにデジタル(データ)を活用し、どのようなオペレーションをすればよいのだろうか?この課題解決をサポートしてくれるのが、この冬からコラボレーションするミヤウェルネスとTechnogymだ。今後、フィットネスクラブはどのようにあるべきか、これまで国内で数々のクラブの新規開業を手掛けてきた宮下氏に訊いた。

  • 株式会社ミヤウェルネス 代表取締役
    宮下祐季氏

海外のDXとは

宮下氏は、2023年6月にオランダ・アムステルダムのブティック型業態施設とイタリア・リミニウェルネスを視察していた。そこで、あることを感じたと言う。

「コロナを経て『DX化』という言葉が先行しました。オランダでは、顧客の来館率や継続率など、顧客動向を追うDX化がベーシックになっていました」

宮下氏は、オペレーション上の仕組みについても語る。

「メンバーは、来館したら、フロントにある端末やマシンでチェックインするのですが、その際、スタッフが会員情報で、入会から何日目なのかを随時確認し、来館頻度に合わせてお声掛けをしていました。退会を抑制するような仕組みです」

宮下氏は自身の運営するクラブで、顧客動向追跡のDX化として、長年、海外で知見を培ってきたTechnogymのmywellness cloudを活用することにした。

アメリカやヨーロッパでは、デジタルを介して運動プログラムを処方してもらえるかどうかが入会のきっかけになる人が約半分にものぼると言われているという。つまり、パーソナライズされた体験がいかに得られるのかが、入会の決め手になるということだ。

対して日本では、総合型業態でも24Hセルフ型業態でも、主にフロントで決済システムのキャッシュレス化は進んだものの、顧客動向を追う点では、課題が見られたと宮下氏は言う。

「総合型では、コロナをきっかけに、スタジオに通うような40代女性が、マイクロジムなど新しい業態を選んでいる背景があります。運営の課題には、今あるCRMなどのツールをどのように使っていくべきか、その指標に悩んでいます。24Hセルフ型業態では、異業種からの新規参入が増えていて、コストをかけず、無人型ジムに振りたい事業者が多い印象です。人的サポートのない施設は継続率が低く、退会してしまうのが課題と言えるでしょう。DX化という観点では、Excelベースで、手入力しているクラブもまだまだ見られました。今後、日本でも、CRMの利用が加速していくと予想できますが、決済端末だけでなく、顧客動向を追える仕組みを構築し、一元管理することで、いかにメンバーに継続していただけるクラブをつくるかがポイントになるのではないでしょうか?」

同氏は、また「日本では、新規入会獲得へかけるエネルギーが強い反面、ヨーロッパでは、入会したメンバーに手厚いサポートをするためにCRMを使いこなし、定着率を向上させている印象がある」とも付け加える。

宮下氏は国内での知見に長けていた。そこで、Technogymとコラボレーションすることとなった。

メンバーの継続を促すためには

メンバーにいかに継続していただけるかについて、どのようなオペレーションが考えられるだろうか?

宮下氏によると課題と解決方法は次の通り。オートメーションが鍵となる。

①入会していただくための仕掛け

国内で多くの生活者が慣れているのはLINEではないでしょうか?LINEから、最短1タップで入会ができたり、各クラブが導入しているアプリ(CRM)と連携できるとメンバーにとってはラクですよね。ここはロジカルに仕組み化できるとよいのかもしれません。

②退会リスク

例えば、1ヶ月以内に1週間以上来ていないメンバー、または3ヶ月来ていないメンバーに対して自動的にコンタクトできたらどうでしょうか?退会リスクに応じた接客やフォローの体制づくり(オペレーション)ができるのではないでしょうか?そこでは、メンバーのリアクションを、特定のスタッフだけでなくクラブ全体で共有できれば、「クラブ全体があなたを見守っている」という安心感を印象づけることができます。特に、入会からのオンボーディングに寄与しますね。

③マシンとの連携

クラブに導入されているマシンとCRMが連動し、メンバーにとってストレスなくクラブを利用できる状態が理想です。また、マシンの使用データ(トレッドミルの稼働時間やマシン利用台数)がわかるとマシンのニーズも確かめられます。

④スタッフの研修難

複数店舗を運営する場合、また異業種参入でスタッフ研修が難しい場合は、動画コンテンツがあることで研修時間を効率的にし、属人化された研修の質を均質化できます。パーソナルトレーニングで担当トレーナーが異なるときも、過去に提供したプログラムを知ることもできたり、店舗間で共有できたりするとスタッフと知が共有できます。

⑤スタジオへの予約参加ハードル

総合型業態では、多くのセクションがあります。各セクションで予約を一元管理できたり、スタジオへの参加を促進できるよう、プログラムプロバイダーが提供しているプレコリオの動画をアプリを通じて配信できたりするとメンバーの興味をそそります。スタジオ以外でもクラブのコンテンツに触れる機会があれば、スタッフが後押しできなかったユーザーに自動化の仕組みでお知らせできますね。

⑥モチベーションになるコンテンツ

クラブの専用アプリをダウンロードして、そのアプリからクラブでのイベントを知ることができれば、クラブへ行く目的ができ、楽しくなってきますよね。また、運動内容が記録されたり、プログラムを割り当ててくれるとやりたくなります。もしくは、入会前のメンバーもそれに触れるきっかけがあったら、新しい顧客層に知っていただけるかもしれません。

⑦メンバーのインサイトに近づく

トレーナーがメンバーと信頼関係を構築しようとするとき、メンバーが本当のことを話してくれるとは限りません。メンバーのトレーナーに対する評価やメンバー自身の感情や思考を知る方法があったり、定期的な回答によりその後のクラブライフが快適になるとよいですよね。例えば、Technogymのソリューションを活用して、回答に応じてメンバー個々人にパーソナライズされたプログラムを付与するとか。それが、メンバーのクラブやトレーナーへのエンゲージを高めてくれるかもしれません。

◆参考 カスタマージャーニーオートメーションの例

退会率を1%下げるには?

宮下氏は、今後、日本のフィットネスクラブで求められることを次のように語る。

「あらゆる業態において、メンバーにクラブの価値を感じていただけるよう、トレーナーを介してメンバーへのサポートをしっかり展開したい施設にとって、カスタマージャーニーをいかに自動化・効率化できるかが決め手となります」

多くのクラブでは、入会獲得方法に力を入れ、時間をかけているだろうが、メンバーにとっては、入会前の期間よりも入会後の期間のほうが長い(はずだ)。入会しても離脱しやすいモデルでは、経営・現場もろともビジネスとして持続性に欠けてしまう。入会を獲得することも大切だが、今あるリソースをフル活用しながら、初心者を離脱させないよう、仕組み化することで、退会率が1%でも下がったとしたら?もしくは、在籍が数ヶ月伸びたら?クラブの価値に気づいてオプションを付帯するようになったら?それだけでもビジネスは大きく改善する可能性があるだろう。

ミヤウェルネス×Technogymのコラボレーションは、このような課題を“仕組み”でサポートしてくれる。事業者は、「入会後」にも、もっと目を向けてみてはどうだろうか。

4月24日(水)Technogym Webinar開催

本記事で紹介したジャーニーオートメーションの考え方や導入におけるクラブとメンバー双方のメリットについて、より詳細に紹介するウェビナーを、宮下氏をスピーカーに招いて開催いたします。

期日:2024年4月24日(水)11:00~12:15
(参加お申込みの方は、1ヶ月間無料で見逃し視聴ができます)

参加料金:無料

メンバーの定着をサポートするカスタマージャーニー

本記事でご紹介したカスタマージャーニーについて、『退会率を1%下げる⽅法』をご紹介しています。