【事例】株式会社ハコジム
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株式会社広島ベンチャーキャピタル古川皓一氏
株式会社広島ベンチャーキャピタル(以下、HVC)は、1995年に地元広島を中心に中四国の企業や起業家の成長への投資のために設立された地域密着型のベンチャーキャピタルだ。現在では徐々に地区を広げ投資を行っている(表1)。HVCの投資先の一つにあるのが24時間365日営業の無人個室ジムを店舗展開している株式会社ハコジム(以下、ハコジム)だ。HVCの投資方針からハコジムへの期待、成長戦略について、HVCのハコジム担当である古川皓一氏に取材した。
広島ベンチャーキャピタルの投資方針
HVCは地元である広島の企業や起業家を支援するベンチャーキャピタルで、ファンドを組成し、企業へ投資し、IPO(上場)を目指していく。すでに上場した企業は32社にのぼる。現状ハコジムを含め76社に投資している。
業種や事業ステージ(例えば構想段階の事業、IPO間近などの企業など)もケースバイケースで、地区も広島や中四国を積極的に投資先にしてはいるものの、地元外でも、投資対象企業が、広島県に何か関係し成長に影響を与えたり、親和性がある企業へ投資をしているという。古川氏は「当然、ファンドのパフォーマンス等も考えて投資するが、単純にパフォーマンスだけではなく、どういったところに投資したら地元貢献につながるかという意識で投資している」と言う。
現在の投資判断として、「大事なのはマーケットがあるか」だという。
ビジネスモデルを見たときに、参入障壁があるか、差別化要因が何かあるかは大事な評価軸だという。差別化要因をみて競合優位性が何かを見ていくことも重要なことという。
また、「経営者のほうが本当にやりきってくれるか、熱意を持っているか」も大きなポイントである。
投資先へのHVCの関与の仕方は様々であるが、「早い段階から入ってハンズオンで成長してもらい、イグジットするケースもあるが、どちらかと言えば経営者に任せる。むしろ『ハンズイフ型』で、何かあれば積極的に相談してというスタンスをとっている」
そのような包容力ある投資スタンスがあるため、新規投資相談は非常に多く、そのなかから年間10件程度に新規で投資している。「相談しやすさはあると思う。相談先は、HVCの投資先とのネットワークを構築したいという期待もある。一方、ビジネスを大きくしたいというスケールアップの相談も最近は多く寄せられている」
「ハコジム」ビジネスモデルの投資判断とは
そのような投資方針をもつHVCのハコジムへの投資はどのような判断や期待値があるのか。先にハコジムのビジネスモデルを見ておきたい。