「ティップネス」と「メガロス」が発表した業務提携は、業界内外で大きな注目を集めている。両社が手を組んだ背景にある課題意識やフィットネス業界の未来像について、ティップネス代表取締役社長 岡部智洋氏、野村不動産ライフ&スポーツ代表取締役社長 小林利彦氏に、本紙編集長・古屋武範が話を聞いた。
大手が手を組むことで業界全体を盛り上げたい
―今回の両社の業務提携は、業界には様々な課題がある中で、風穴を開けてくれそうな予感がしています。そもそも業務提携は、どういったきっかけで進められたのでしょうか?
小林:実は私たちは同期で、2人とも学生時代は吉祥寺で遊んでいたこともあり、「若い頃を思い出して、吉祥寺でご飯でも食べましょう」と。その街には両社の店舗が併存していて、力を合わせることで様々な地域貢献を通じて、街に恩返しができそうだと、フィットネス産業の価値や可能性について語り合ったのがスタートです。
岡部: 今、フィットネス業界は「少ないパイを取り合う構造になっている」と言われています。つまり他社は競合という考え方です。確かに都心部では、1つの駅に複数のフィットネスクラブがひしめく地域もあります。ただ、それを一概に「競合」と言っていいのかには疑問があります。それぞれ強みが違うわけですから、お客さまからすれば「選ぶ自由」があるとも言える。「競合」ではなく「協業」することによって、少ないお客さまを取り合うという構図そのものを変えられないだろうかという思いをずっと持っていました。
小林:今回の業務提携も、実は「利害関係を超えて業界全体を盛り上げていきたい」という使命感が根底にあります。
―両社は首都圏をメインに展開されています。首都圏だけでなく全国展開している企業との業務提携を推す声もあったのではないでしょうか。
岡部: そういった声もありました。しかし同地域をカバーする会社同士が提携することによって、一都三県のカバー率が圧倒的に上がります。お客さまにとっては電車を降りてすぐの場所に通える施設が増えるので、利便性が格段に高まることは大きなメリットだと考えています。欧米