総合型フィットネスクラブが、再生に向けて業績をようやく回復させ始めたタイミングで、現状を否定するような変化を起こす—そんな決断をすることが、どれほど難しいことか。
しかし、その難しい決断を実行したリーダーがいる。
他業界ではあるが、丸井グループの青井浩社長だ。『ハーバードビジネスレビュー(日本語版)』を読んでいて、この話が、いまの総合型フィットネスクラブの再生を考えるうえで、アナロジーとして大いに活用できると考えた。
「仕入れて売る」から「場を貸す」へ——丸井の大転換
丸井グループの青井社長は2015年からビジネスモデルの大変革に着手した。商品を仕入れて販売する「百貨店型」から、テナントと定期借家契約を結んで家賃収入を得る「ショッピングセンター型」へ。
この転換が、以降の成長を牽引する大きな要因になった。
同様の変化を遂げたのが、アトレだ。こちらも「テナント型」への移行が成長の加速につながっている。
フィットネスクラブも、「場の設計者」になれないか
ここで、考えたのがこういうことだ。
総合型フィットネスクラブも、ジムはともかく、例えばスタジオの1つ、スパ、あるいはカフェを含むラウンジ——そういったスペースを、それぞれ「実力のある人・組織」にテナントとして入居してもらう形はどうだろうか。
アトレなどもこの手法を使って業績を伸ばしている。
自分たちがすべてを運営するのではなく、その道のプロに任せる。クラブは「場の設計者・提供者」として機能する。収益モデルも、固定費から賃料収入へシフトする。
入居者が不安を抱くなら、期間を区切ったテスト導入から始めればいい。結果を検証しながら進める「実験的アプローチ」だ。
激変期に「力を発揮する人」が、平時には目立たない
変革には、痛みが伴う。従来のやり方に慣れ親しんだベテランほどつらいと感じ、かなりの抵抗に遭うのは、丸井の事例でも例外ではなかった。
しかし、青井さんは、こんなことも話していた。
「平時にはあまり目立たなくても、激変を迎えた時には力を発揮してくれる人もいて、こうした人たちが活躍の場を広げるきっかけになった」と。
これは、意外に思う人もいるかもしれない。でも実際、そういうことがほとんどですよね。近い経験をした人なら分かるでしょう。変化の波は、組織の中の「隠れた人材」を浮かびあがらせる。
「継承が得意なリーダー」に変革はできない