東急スポーツシステム株式会社(以下、東急スポーツシステム)は2021年4月1日に、東急池上線「池上」駅に直結する商業施設エトモ池上内に、フィットネスジムアトリオライトエトモ池上をグランドオープンした。株式会社hacomono(以下、hacomono)の手がけるシステムがさらに進化し、フィットネスジムの業務効率化と会員さまの利便性向上に大きく貢献している。

入江 光氏
東急スポーツシステム株式会社 開発本部 店舗開発担当 サブマネジャー

池上エリアへの出店計画が3年越しでついに実現

東急スポーツシステムは’18年4月に開発本部を立ち上げてから池上エリアへの出店を画策していた。同社としては東急池上線沿線で初の出店となる。東急グループの商業施設ブランドであるエトモ池上オープンと同時並行で、計画を進めてきた。

池上エリアは独身世帯だけでなくファミリー世帯も多い。駅直結というアクセスの良さから、現役世代である20~40代に支持されるのと同時に、40代以上の女性を中心に、アトリオライトと併設されているホットヨガ&コラーゲンスタジオbefreが人気だ。

アトリオライトは初心者層にもやさしい小規模ジムとして展開している。「ライトに始める」「ライトに通える」をコンセプトにしていることが見てとれる設計となっている。

エトモ池上店は130坪程度の面積で、マシン、フリーウェイト、カーディオをバランスよく配置。専用の更衣室は設けず、その代わりにジムエリアとして使えるスペースを広くしているのだ。

「お客さまは外履きのままでジムを利用することができます。皆さま近隣の方が多いので、運動着に着替えた状態でいらっしゃいます。駅直結ではありますが、仕事終わりも一度帰宅されてからジムを利用される方もいらっしゃいます」と入江氏は話す。

ホットヨガ会員であればジムエリアも使い放題

会員種別に特徴がある。ホットヨガ&コラーゲンスタジオbefreの会員であれば、ジムエリアも利用することができる。一方でアトリオライトの会員であれば、ドロップインというかたちで都度払いをすればホットヨガを利用することもできる。これらは女性限定の特典である。

しかしながら、ホットヨガの会員さまを除いても、女性の方が男性よりもアトリオライトを利用しているという。これだけ女性に支持されるのには理由がある。

この時代こそ求められる人と人とのつながりを重視

アトリオライトの特徴は、手厚いスタッフのサポートだ。24時間ジムなどとは異なり無人営業時間を設けておらず、いつジムに行ってもスタッフが温かくお出迎えしてくれる。

「コロナウイルスが拡大して人との関わりが希薄になってしまいました。だからこそ、人が提供する価値がフィットネスジムとして大切だと考えています。近隣の24時間と比較するとアトリオライトの価格設定は若干高いのですが、そこで差別化を図っています」

さらに、アトリオライトには「パーソナルサポート」という初心者層に特にやさしいオプションを設けている。月額1,650円を追加で支払うことで、専門のトレーナーによる体組成測定、運動指導、トレーニングメニュー作成、栄養アドバイスを、毎月受けることができる。

「運動初心者や女性はサポートの少ない安価なジムに入会しても挫折してしまうことが多いので、アトリオライトはその層に対して手厚いサポートをリーズナブルな価格で提供できることが強みです」

しかし、昨今のフィットネスジムにそれだけ手厚いサポートを行うには、どうしてもマンパワーが不足しがちである。その課題を解決するのが新時代のフィットネスジムの強い味方であるhacomonoだ。

バックオフィス効率化を支える最先端テクノロジーの活用

アトリオライトが導入しているhacomonoのシステムは、今まで人手をかけなければならなかった業務を刷新する。まず目を見張るのが最新の顔認証システムだ。

ジムの入口の脇に設置されており、会員さまは自分の顔をモニターに近づけると、ドアの開錠と検温に加え、マスク検知を同時に行うことができる。

’20年10月頃に東急スポーツシステムの方からhacomonoに対して「顔認証と検温が同時にでき、それが会員管理システムと連携するようにしてほしい」という要望が出された。それに対し、半年もかからず実現してしまうのだから驚きだ。

それだけに留まらず、入会手続きの完全ペーパーレス化を実現。その入会手続き時に顔写真をiPadなどのタブレットで撮影すれば、ものの1分で連携が完了し、その会員さまはすぐにドアの開錠をできるようになる。

「こちらで用意するのはタブレットのみです。そのため、導入はとても軽いフットワークで進められました。システムの使い勝手、デザイン性も優れているので、アトリオライトには欠かせない存在です」と入江氏は満足げに話す。

先に述べた入会手続きや会員情報と写真データの紐づけといった、いわば会員さまに付加価値を提供しづらいバックオフィス業務に必要なリソースを大幅に削減することに成功。

このシステムの支えがあってこそ、会員さまへの手厚いサポートを実現することができる。

入江氏は「会員さまのお顔を覚えることにも役立っています。入退館の記録もドアのセンサーを通過するのと同時に取れるので、現在ジムにいらっしゃる会員さまがどなたなのかすぐにわかり、関係性を築きやすくなりました」とも話す。メリットはバックオフィス業務の効率化に留まらない。

会員さまの利便性と安心感の向上を同時に実現

会員さまとしても、手ぶらでジムに入ることができるので利便性が向上した。従来であれば交通系のICカードで入退館をしていたのだが、そこからさらに一歩進化したのだ。まさに新時代のフィットネスジムに相応しい。

さらにhacomonoは予約システムもホットヨガスタジオ用に提供している。あらかじめ会員さま専用のwebサイトからレッスンを予約しておき、当日はQRコードをかざして入室する仕組みだ。

スタジオ内には誰がいたのか記録が取れるため、会員さまは安心して利用することができる。

店舗内の掲示板にhacomonoの会員専用サイトのQRコードを設置することで、会員さまがブラウザから検索する手間を削減する工夫も施している。このような細やかな気遣いが、会員さまとのエンゲージメントを高めている。

進化し続けるからこそ支持され続けることが強み

最大の強みはシステムが進化し続けていることで、要望をアップデートしていく組織づくりに理由がある。今後の要望として「写真の登録自体も会員さまが行えるようになれば嬉しい」と入江氏は期待を込めて話す。

要望すべてに応える訳ではないが、対応の良さも魅力のひとつだ。

新時代のフィットネスジムは、テクノロジーに頼れる部分は頼り、人でしか付加価値を出せない部分にリソースを配分することが欠かせない。

そういう意味では、スタッフが少ないうえにセキュリティに配慮が欠かせない24時間ジムともhacomonoのシステムの相性は良いだろう。

アトリオライトエトモ池上の好事例を参考に、会員さまにより満足いただける環境をつくっていくことがフィットネス業界全体として急務だ。