コナミスポーツ株式会社(以下、コナミスポーツ)は、2022年4月より、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(以下、ソニー)が提供するAIと映像技術を活用したスイミングレッスンのDXツール「スマートスイミングレッスン」を導入

Fitness Business通巻第120号※1、および同123号※2にて、導入背景やその後の状況など紹介してきた。2023年4月には導入店舗が90店舗を超え、スタッフの事務コスト軽減、レッスンの品質や安全管理強化、会費収入増加など、予想を上回る効果を生み出している。
※1:『スマートスイミングレッスン、コナミスポーツクラブ約100店へ』
※2:『コナミスポーツクラブ スマートスイミングレッスンがもたらす、スクール事業の革命的な進化』

  • コナミスポーツ株式会社
    施設事業本部 品質管理部 クラブ・スクールグループ
    シニアマネージャー
    福澤利郎氏
  • コナミスポーツクラブ
    本店
    スイミングコーチ
    河崎直哉氏

スマートスイミングレッスン コナミスポーツの最新導入状況

コナミスポーツは、「ほめる型指導」と「段階別指導」を取り入れたキッズスイミングスクールの運営を行い、今年50周年を迎える。現在では「運動塾スイミングスクール」と呼ぶキッズスイミングスクールにて、学校教育でのDX化やコロナ禍における保護者観覧の制限などを背景にスマートスイミングレッスンを活用した「運動塾デジタルノート(以下、デジタルノート)」の導入を始めた。

デジタルノートの導入により、スタッフの事務コスト軽減、品質管理、安全管理など様々な効果が出ている。

紙のノートからデジタルノートに

 

事務作業軽減で生徒とのコミュニケーションが増加

デジタルノートの導入で大きく変わったのが、コーチの事務作業コストだ。これまで出欠管理や進級テスト結果を紙で管理していたが、デジタルに移行したことで手間と時間が削減できている。特に、進級テスト期間は様々な事務作業が発生するが、大幅に作業時間が短縮し、導入前より1ヶ月では約52%削減している

出欠管理は、これまでクラスごとに毎回名簿を出力し、振替などは手書きで名簿に記していた。デジタルノートを導入したことで、タブレットに振替状況も表示され、出席・欠席のボタン操作のみで一括管理できる。15分単位でデータが更新されるため、振替状況もすぐに確認できる。

「以前は、振替元・振替先の両方の名簿に手書きで記入していて、振替先のコーチは元のクラスの確認などもレッスン前に行っていましたが、そのような手間がかかりません。毎回、紙に印刷して出席をとっていたため、紙の無駄もなくなり、管理の負担もかからなくなりました。進級テスト期間中は、子どもが持ってきたテストカードに結果とコメントを記入し、その場で名簿に転記、さらにレッスン後にそれをデータ入力していました。今はプールにいながらタブレットに1回入力するだけで、子どもや保護者も見られるようになり、転記やデータ入力の必要がなくなりました。その分、子どもや保護者とコミュニケーションにかけられる時間が増えています

と話す河崎氏は、現場で指導する最も恩恵を受けているポジションの1人だ。

タブレットは防水ケースに入れて操作しており、プールでも問題なく使用できる。進級テスト時のコメントは自由に入力することができるがテンプレートから選ぶこともでき、出席・欠席、合格・不合格など、ほとんどの作業はボタンを押すだけで完結する。

「コメントはこれまでの状況を参考に複数用意して、テンプレートから選んでも適切なメッセージが伝わるようにしています。実は、導入当初、同じ子に続けて同じコメントを送信してしまったケースがありました。これを受け、ソニーさんに相談し、前月のコメントも確認できるようになりました」(福澤氏)

加えて、進級のカリキュラムなどは当初から同社に合わせてカスタマイズしているほか、コーチ・曜日ごとなどに子どもの情報を閲覧できるようにしているのも、スマートスイミングレッスンがレッスン現場で支持されている理由だ。

コーチの育成にも活用し レッスンの品質管理向上

レッスン映像を確認できるため、コーチの育成、レッスンの品質管理にも活用している。

OJT中は、映像によるレッスンの振り返りも行っている。コーチには、指導方法や進級テスト方法などの研修を行っているが、実際のレッスンの場でできていないこともある。

設置環境によっては、プールサイドに隣接する事務所内でもタブレットを利用でき、ほぼリアルタイムに近いかたちでレッスン映像を確認できるため、注意すべきことがあった場合、プールサイドのスタッフに連絡し、コーチに伝えることが可能だ。

また、デジタルノート導入以降、施設ごとの進級のばらつきが小さくなった。これはデジタルノート導入に伴い、各級ごとの見本動画を製作したことで、改めて進級テストで評価するポイントが可視化され、基準が明確になったためだ。

また、生徒・保護者に配信対象となるテストやレッスンの動画を本部も見られるようになり、コーチの指導力も把握できるようになった。これまで施設に直接出向いて視察していたのが、本社にいながら行えるようになり、移動コストも削減できている。

実際の映像を活かした改善指導が安全管理につながる

本社や店舗マネージャーが実際の進級テストやレッスン映像を確認できることは、安全管理にも役立っている。

同社は、タワーによる監視員のほかに必ず1人プールサイドに監視員を置く、レッスン中に人数チェックをする、死角ができない立ち位置からレッスンを行うなど、プールでの安全管理を入念に行っている。

しかし、レッスンを始めて間もないコーチなど、立ち位置がずれて死角ができてしまうこともある。デジタルノートにより、店舗マネージャーがコーチの立ち位置や目線を映像で確認できるため、都度指導することができる。

さらに、指導したことが改善されているかどうかも、現場に行かなくても映像で確認が可能だ。

プールでの安全管理はスクールにおいて何より重要です。コーチだけでは気づけないことも、プールの監視員やマネージャーなど、映像も活用しながら沢山の目で確認できることで事故の防止につながっていると考えます。保護者の安心感にもつながっているのではないでしょうか」と福澤氏は言う。

付加価値向上によるスクール会費改定で収入が増加

デジタルノート導入に伴い、運動塾スイミングスクールの会費を700円~1,000円改定している。価格改定については、2ヶ月前から告知し、同時にデジタルノートのトライアルを開始することで価値向上を感じてもらえるよう努めている。

同社は、1ヶ月に1回と高頻度で進級テストを行っており、価格改定の前々月の進級テストから、デジタルノートのトライアル運用を行っている。

「泳いでいる姿を映像で見る機会はほとんどないので、自分の泳ぐ姿に驚く子もいます。口頭で教えるよりも、実際の映像を見ながらのほうが、説得力があります。本導入以降は毎回映像を保護者に配信していますが、テスト導入前の期間は進級テスト後、子どもに見せているだけです。それでも、映像を見ることで改善点がわかりやすいと子どもたちから保護者へ話すようで、価格改定への理解をしていただけています」と福澤氏。

本導入以降は、進級テストの評価コメントも入れ、映像とともに保護者もwebで閲覧できる。映像で見ることで改善点がわかりやすく、見本動画も見られるため、上達につながっている。

見本動画は選手コースの子どもが泳いでいる姿にしており、同じスクールの仲間が泳いでいる姿に意欲を感じる子どもも多い。

体験の際にもデジタルノートを使用しているが、導入のための価格改定後でも体験入会率は下がっておらず、また既存会員の退会率にも変化がないことは、1つの成果と言えるだろう。

大切なことは、満足のいくサービスを提供できているかどうかに尽きる。

選手コースなど 今後さらに活用を拡大

 

現在、同社は大人専用だった施設にも運動塾スイミングスクールの導入を拡げている。運動塾スイミングスクールの展開に伴い、デジタルノートの導入も引き続き進めていく予定だ。

また、現在は、3歳児~小・中学生までの一般コースで活用しているが、6月から選手コースにもサービスを提供していく。スマートスイミングレッスンのサービスアップデートにより、タブレット上でコーチが指導しやすいツールを拡充し、よりわかりやすい指導につなげる。映像でフォームを確認し注意するポイントがわかることで、タイム短縮につながり、選手のモチベーション向上にもつながると期待される。

「今回導入スクール様からの要望もあり、選手/育成クラス等での活用を想定し、タブレット上での指導ツールを大幅に拡充したほか、記録会時にはタブレット上で4レーン同時にラップタイムを計測できる機能も追加しました。また生徒用のマイページでは、泳法別の自己ベストを閲覧できるため、選手/育成クラスの生徒のモチベーション向上を期待しています」(ソニー成田氏)

今後も導入スクールと協議し、より幅広くスイミングスクールを利用する方にサービスを提供していきたいと考えている。

今、キッズスイミングスクールでの、安心、安全がますます重要視されている。スマートスイミングレッスンは、懸念を抱える保護者に信用を提供することにもつながるのではないだろうか。

コナミスポーツクラブ 「運動塾デジタルノート」

ソニーネットワークコミュニケーションズ 「スマートスイミングレッスン」