株式会社ロンド・スポーツ(以下、ロンド・スポーツ)のTHE24GYM昭島に、プリコージャパン株式会社(以下、プリコー)が提供するソニーのADVAGYMを東京都内のフィットネスジムで初めて導入した。ADVAGYMは施設の利用データを、後付けのデバスで簡単にトラッキングすることができるアイテムである。導入後は順調に利用者数を増やし、今後は様々な機能を利用して会員さまの満足度向上を目指す。

  • 宮沢圭子氏
    株式会社ロンド・スポーツ マネジャー
  • 栗原友梨氏
    株式会社ロンド・スポーツ マネジャー

武蔵野地区を中心に豊富なバリエーションのジムを展開

ロンド・スポーツは東京都の東村山市に本社を構え、総合型フィットネスクラブ、ゴルフ練習場、テニス練習場、ホットヨガスタジオ、パーソナルコンディショニングジム、スイミングスクールなどを複数店舗運営している。

昭島店は、2階部分が24時間ジムのTHE24GYM、3階部分がホットスタジオのRONDOHOTSTUDIOORANGELOTUSで構成されている。

ORANGELOTUSを利用している会員さまはTHE24GYMも通常月会費内で相互利用が可能ということもあり、会員さまは女性の占める比率が大きくなっている。年齢層は20~40代の若年層が多く利用している。

ジムエリアの面積は80坪ほどで、カーディオエリア、TRXを備えたフリースペース、マシンエリア、そしてフリーウェイトエリアがバランスよく配置されている。マシンやダンベルはすべてプリコー製に統一されている。

利用者は外履きのまま施設を利用することができるため、靴を持ち運ぶ手間が省けると好評を得ている。仕事帰りに利用したい場合は、契約ロッカーに運動靴を入れておくこともできる。

メインターゲット層はフィットネス初心者で、彼らにとって通いやすいジムづくりに励んでいる。

24 時間ジムとは思えないほどの手厚いサポート

THE24GYMはオーソドックスな24時間ジムと差別化を図るために、スタッフによるサポート体制の強化に力を入れている。そうした背景で始められたのが「トレーニングサポートシステム」と呼ばれる初心者向けの指導だ。プログラムは全部で3回の構成になっているが、驚くべきことに無料で提供している。

1回あたり30~60分で構成されており、会員さまのカウンセリングや体組成計測に始まり、マシンの使い方をひと通りレクチャーした後、最後にファンクショナルなトレーニングを指導するという流れだ。「私たちは地域に根付いた総合型クラブで1on1サービスを大切にしてきました。そこで多くのお客さまを通じて得たノウハウを活かし、現在のサービス体制につながっています。実際にこのプログラムを開始してからは、入会直後の7割以上のお客さまにご利用いただけています」とマネジャーの宮沢氏は話す。

「私たちのミッションは『心温まるサービス』と『快適な空間』の提供です。トレーニングサポートシステムを開始してから、我々の理想とするジムの在り方に近づけたと思います。それだけ初心者の人にとってサポートは重要なのです」と栗原氏も続けた。

しかし、24時間ジムとなるとやはり人手を多く配置することはビジネスモデル上なかなか叶わない。そこで、ロンド・スポーツの社内で、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)チームが立ち上がり、情報収集を開始。そのなかで特に目を引いたサービスが、プリコーが展開しているADVAGYMだった。順調に検討を重ね、享受できるメリットの多さを理解して、2021年4月22日より正式に導入することとなった。

ADVAGYM の導入によって見えるようになったもの

ADVAGYMは今まで取得することができなかった、会員さまの運動データを自動で記録してくれるシステムである。導入は非常に簡単で、すでに利用しているマシンに後付けで設置をするだけ。わざわざマシンを買い替える必要がないので、初期投資を大きく抑えられる。

例えばチェストプレスなどのマシンを利用する場合、ADVAGYM専用アプリをあらかじめダウンロードしてあるスマホを画像のセンサーにかざすだけで認識が完了する。認識が完了したスマホはマシンに備えつけられたスマホホルダーに入れる。そのままトレーニングを開始すれば、自分が何回重りを挙げたのかがカウントアップされていく。適切なトレーニングのペースをガイドしてくれる機能も付いている。

1セットが終われば、あらかじめ自分が設定した時間のタイマーが作動して、インターバルも自動的に計測ができるようになっている。これらによって、まず恩恵を受けるのはフィットネスジムだ。運動データが蓄積され、スタッフ間で共有することで会員さまの前回のトレーニングが一目瞭然になる。そのためトレーニングサポートシステムで別のトレーナーが2回目以降を担当するケースでADVAGYMが重宝しているそうだ。

ジム全体の利用状況も可視化できるため、現在のジムの混雑状況を把握することも、よく利用されるマシンがどれなのか特定することも容易い。メンテナンスの最適な時期を予測することに寄与してくれる。ジム運営の効率化を手助けする心強い味方であろう。

初心者層は、スタッフだけでなくシステムも頼りにしている

THE24GYMでは、先ほど述べたトレーニングサポートシステムの際にADVAGYM専用アプリのダウンロードを推奨している。初心者は特に、喜んで利用するようだ。24時間ジムであれば、無人時間が発生することは避けられないであろう。そういったときも、ADVAGYMアプリを立ち上げれば、基本的なマシンの使い方を動画で確認することができる。

トレーニングサポートシステムの後、すべてを覚えられるとは限らない。それを補うのに最適なソリューションと言えよう。また、ウェイトトレーニングやカーディオの運動データが蓄積されるので、前回の自分の記録を更新できたときにモチベーションがアップする。

実は、トレーニングサポートシステムで行うメニューをジム側がアプリで作成し、会員さまに提供している。「このアプリがあったからこそ、トレーニングがスムースにできた」「こういうシステムを待っていた」という声が多く寄せられている。

ADVAGYM を通した新たなタッチポイント

ADVAGYMでできることはすでに記載した内容以外にもたくさんあり、THE24GYMとしてもこれから利用を開始していく予定の機能がいくつかある。最も注力していきたいのが会員さまとのコミュニケーションの部分だ。ADVAGYMを通して会員さまにメッセージないしプッシュ通知を送ることができる。その機能をもっと活用していくことを目指す。

THE24GYMではLINE公式アカウント、Instagramを運用して会員さまとコミュニケーションをすでに取っている。ADVAGYMを追加することで、各ツールによって発信内容の棲み分けをしていく。

例えば、LINEは店舗の営業について、Instagramはレッスンの案内について、ADVAGYMはトレーニング方法などについてといった具合だ。会員さまが実際に店舗に足を運んでくれたとき以外のタッチポイントを、3種類のチャネルから増やしていくことができる。

また、夏に向けたシェイプアッププログラムや運動不足解消プログラムなど、ADVAGYMを通したメニューの提供を拡大していく。現状はトレーニングサポートシステムに利用するメニューのみであったが、さらにラインナップを追加する。

加えて、昭島店以外のTHE24GYMの導入も着々と準備を進めている。ADVAGYMが複数店舗に導入されると、店舗間での情報連携がしやすくなるため、メリットがさらに大きくなる。

これからもTHE24GYMはお客さまにとって心のこもった心地よいお節介と感じていただけるアットホームなジムを運営し続ける。そのため、人のリソースが足りない部分にテクノロジーを導入することで対応し、初心者にとっても快適で、継続率を高水準で維持できる新しいかたちの24時間ジムにしていく。

ロンド・スポーツのようにDXチームを立ち上げた事業者はどれほどいるのだろうか?少なくとも、ポストコロナに最適化したフィットネスジムの形態にいち早く転換できるかどうかが、勝負の分かれ目となるのは間違いない。