新たな地域や業種とのタイアップで『パーソナルトレーニング』の認知を広げる
REAL WORKOUTのブランドイメージを刷新。国内100店舗に加え、海外出店も

2022年、ウィズコロナの環境変化により、フィットネス業界の市場環境も大きく変化した。フィットネスクラブ各社も、徐々に回復の兆しが見えてきている。2023年は、さらなる回復に向けて、どのように今後の動向を予測し、キャリアを築いていけばよいのだろうか?業界を牽引するリーダーたちに訊いた。今回は、REAL WORKOUTを運営する、株式会社WORKOUT。国内への出店ペースが留まることを知らない同社の2023年の動向にせまる。

土屋 耕平 氏
株式会社WORKOUT
代表取締役CEO

 

2022年はどんな年でしたか?

「時代の転換期を感じました。REAL WORKOUTのマーケティングも都心のイノベーター層から地方のマジョリティ層へとシフトしました」

2022年は24時間ジムや、パーソナルジムが急増し、フィットネス業界も、施設提供型の不動産事業から、顧客の多様化するニーズに応えるサービス事業へとシフトした。マーケティングも、総合クラブが行ってきたマスマーケティングから、SNSなどを活用したダイレクトマーケティングにシフトするなど、フィットネス業界が大きく揺れた年となった。

REAL WORKOUTにとっても、2022年は競合する個室型パーソナルジムも増える中、自社サービスの本質的価値を見つめなおし、「パーソナルトレーニングの再定義」をするとともに、「アカデミーの立ち上げ」により、サービス品質を上げる教育投資を増やした。

また、2022年は地方出店が増えたことで、マーケティング戦略のローカライズも進めた。地方の販促では、これまでとってきた、「黒ぬりの、尖ったデザイン」がまったく受け入れられなかったという。そこで地方では、白地で、地元スーパーのチラシのような、親しみやすいデザインを採用。地方では「ネットでパーソナルトレーニングを検索しない人が大半」という前提で、出店も視認性の高い立地を選び、看板広告や、ポスティングなども実施した。

さらに、マジョリティ層マーケティングの一環として、地方の24時間ジム経営企業とのタイアップ出店や、整体院や美容室など他業種とのコラボ出店、地域のクラブチームのスポンサーになるなど、地域の生活の中でタッチポイントを増やす施策を進めている。

2023年に向けて始めたことは?

「REAL WORKOUTの顧客インサイトの変化に合わせて、ブランドイメージを刷新します」

REAL WORKOUTは、2022年に90店舗となり、会員数も3,000人を超えた。そこで顧客の声を集め、それを店舗運営とサービス価値の向上に活かす取り組みをスタートした。社内にCSチームを立ち上げ、無料体験時にアンケートをとったり、既存顧客にランダムにアンケートメールを送るなどして、顧客の声を集め、その結果をタイムリーにフィードバックするとともに、指導サービスの向上や、接客のホスピタリティ教育に反映させている。

このアンケートで注目したのが、パーソナルジムに対する顧客インサイトの変化と多様化だという。パーソナルトレーニングの中心顧客が、イノベーター層からマジョリティ層にシフトしてきており、顧客のニーズも多様化してきている。それに対して、マーケティングで訴求するパーソナルジムの提供価値が、「ボディメイク」一辺倒になっており、さらに、ビフォーアフターでの体重差も、「ー20㎏」など、効果の高さが訴求されることが多い。だが、マジョリティ層の人が望むのは-3kg程度で、その目的も多様にある。そうした顧客インサイトの変化と多様化に合わせて、REALWORKOUTのブランドメッセージを刷新する準備を進めてきた。

キーメッセージは、「あなたには、あなたの美しさがある」。

マーケティングイメージも、「お客さまの美しい生き方」に焦点を当て、人生を輝かせる、REAL WORKOUTの新たなブランドを共創していく計画だ。

2023年はどんな年になりそうですか?

「業界からはみ出して、新たな地域や業種とタイアップし、調和させながら
『地域密着型パーソナルジム』を広げて、パーソナルトレーニングの認知を広げていきたいです」

日本国内では、REAL WORKOUT新規店の9割がフランチャイズによる出店となっており、2023年は地道なサービス品質の向上と、地方出店への各施策のローカライズを進め、100店舗程度の新規出店を見込んでいる。

フランチャイズでは、初期投資500万円前後で、12~13坪の物件でスタートすることができ、トレーナー育成や、マーケティングや販促における手厚いサポートが受けられることから、人口が少ない市町村でも出店しやすい体制が整ってきている。鹿児島県鹿屋市への出店では、鹿屋大学や、鹿屋市との連携も計画されており、産学官連携で、「フィットネスによるまちづくり」にもチャレンジしていく。

その他にも地域密着型ジムのマーケティングでは、区役所にイベントを提案することや、商店街組合、商工会議所に加盟するなど、地方ならではの施策もサポートして、「地域密着型パーソナルジム」の成功モデルをつくっていく。

また2023年には、海外出店も計画。アジア市場に焦点を当てて、日本式の個室パーソナルジムを展開することを目指す。ここでも、各地域の生活文化に合わせてローカライズしていく施策で、パーソナルトレーニングの認知を拡げ、市場の拡大とともに、事業を成長させていくことを計画している。