株式会社コンセントでサービスデザインチームを立ち上げ、顧客視点での新規サービス事業開発や体験デザイン、またそれを生み出す組織やプロセスをつくるデザイン活動に従事する赤羽氏による連載。今回は、デザインスプリントの実行手順の1日目後半部分を解説する。

 

 

 

フォーカス(焦点)を絞る

デザインスプリント全体の目的は、作って、試すこと。改めて、Day1の目的は「フォーカス」です。何をテーマにしてアイデアを出すかを決めることです。何を、作って試すか、なぜ、それが先に進むために最も効果的なのか、ということを参加している全員で合意することです。

ちなみに、デザインスプリントのテーマが、参加メンバー全員にとって馴染みの深いものであり、それに関わる事実や、顧客やステークホルダーの課題がよく理解できている場合には、この前半で終了することもできます。テーマに関する課題や問いを出した後、全員で重要だと思うものに投票して、意思決定者がそれを参考にフォーカスする問いを決めればDay1は終了。午前中で解散です。

お疲れさま、明日に向けてゆっくり休みましょう。しかし、そうでない場合はデザインスプリントの基本に沿って丁寧に進めましょう。

Day1の前半のワークを振り返ると、理想の状態を描き、それを阻む要因を洗い出し、乗り越えるための問いを出す、というところまででした。この時点ではチームメンバーの視点のみで課題を出しているので、思い込みや勘違いがあるかもしれません。そこで、サービスフローを描いて課題の全体像を俯瞰したり、エキスパートインタビューで事実を確認したりします。

これがDay1の後半に行う内容です。最終的にDay2に向けてフォーカスすべき問いを決めるプロセスは、先程の説明と同じ(全員で投票→意思決定者が決める)です。

サービスの流れを図にする

さて、まずは自分たちが対象としているサービスやプロダクトなどを、書き出しましょう。テーマによって、登場人物は1人のときもあれば(図1)、複数のとき(図2)もあります。15~20分くらいで描ける簡単なものです。事業に関わる登場人物が、目的を達成するための手続きを終えるまでの一連の流れをシンプルに書きます。