全国の自治体で進むDX推進。スポーツ施設をはじめとする公共施設の指定管理者選定において、その潮流は確実に影響を与えている。従来の価格重視の提案が選ばれにくくなっているなか、どんな視点を持ち、差別化をどこに置くことが大切か。株式会社Opt Fitのフィットネス事業部で、営業のリーダーを務める大木暁氏に、ジム専用防犯カメラ「GYM DX®」の公共施設による導入経緯や活用事例、指定管理者として選ばれるポイントを訊いた。
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株式会社Opt Fitフィットネス事業部営業 リーダー大木 暁氏
人件費削減により、公共施設利用者に新たな付加価値の提供を
「スポーツと文化芸術の普及振興を通じて“日本の生きがい=健幸”を創造する」という理念のもと、スポーツ施設や文化施設の運営を行っている株式会社フクシ・エンタープライズ(以下、同社)。同社が代表企業(富士見FTパートナーズ)として運営を受託している施設の1つに、埼玉県富士見市の「富士見市立市民総合体育館」がある。
2019年から運営を受託し、5年の管理期間を終えて実施された公募において、継続運営を目指した同社は、高騰していた人件費に着目する。
「人件費削減に向けた対策として、当社のGYM DX®導入を提案に加えていただきました。施設の担当者から、富士見市がICTの活用を推進していたことも重なり、提案内容を評価してもらい、2024年度からの5年間も継続して受託管理を行えることになったと聞いています」と大木氏は話す。
同施設では現在、トレーニングジムの受付やマシンジム、フリーウェイトやストレッチのエリアに合計13台の監視カメラを設置しているが、導入開始から3ヶ月ほど経過し、人件費削減の糸口が見えたという。

GYM DX®の導入により、施設内の死角がなくなり、お客さまだけでなくスタッフの状況も確認できるようになった。また、転倒や体調不良の方を「AI監視」により自動で危険検知をする機能も備わっているので、合計2人による運営だったジムエリアを、1日のうち利用者の少ない時間帯は1人での運営を目指すことができた。そこで捻出できた工数で、パーソナルトレーニングを提供するといった、新たな付加価値を創出し、利用者に提供しているという。
AI監視機能を活用しより安全なジムの運営を実現
同社が運営を受託している東京都青梅市の「住友金属鉱山アリーナ青梅」もGYM DX®を導入している施設である。
トレーニングルームの広さや死角の多さから、利用者の安全を確保する体制の強化、施設内の環境整備やスタッフの業務負担の軽減、配置の最適化が課題であったが、指定管理制度の5年という区切りの更新時、「AI監視機能を活用した、より安全なジム運営」を提案したことにより、継続しての運営が叶ったという。
同施設は、監視カメラにより施設内の死角をなくすだけでなく、トレーニングルームの状況を事務所からリアルタイムでモニタリングできるAI監視機能を最大限に活用し、運営している。
スタッフの対応が行き届いていないと判断した場合、事務所から現場へ内線で連絡を行い、利用者のフォローを強化する。GYM DX®は、利用者が安心してトレーニングできる環境の整備に加え、スタッフの業務効率改善・配置の最適化にも貢献しているのだ。
「安心して通える施設を増やしたい」
指定管理者選定における公募要項には、「行政のDX方針との整合性」や「地域課題の解決に資する技術の活用」という視点が明記されるケースが、以前と比較し増加の傾向にある。
そうした変化を踏まえ、Opt Fitは「行政、利用者、運営者にとっての三方良し」を叶えるために、DXの活用が必要不可欠と考えている。また、“指定管理の入札で選ばれる4つの差別化ポイント”を下記に掲げる。
- 安全管理の強化
- 利用者満足度の向上
- 運営効率・省人化の実現
- 入札にデータを活用
公共施設の運営において、大木氏は今後の展望を以下のように語る。
「利用者がもっと安心して通うことができる、そんな施設を増やしていきたい。そのために、今ある機能をさらにブラッシュアップし、施設の運営に貢献していく」
国内2,000以上の施設で導入されているGYM DX®を活用することにより、公共施設の存在価値と利用者の満足度は、さらに向上していくだろう。