昨日と同じことを繰り返すだけでは、もはや新しい価値は生まれない。フィットネスビジネスの現場でいま求められているのは、「量」の学習から「質」の学習へのシフトだ。
「昨年と同じ」が、じつは最大のリスクかもしれない
何年経っても、昨日までと同じことを繰り返しているだけの人——ビジネスの世界には、そういう人が少なくありません。
しかし、ひとつの製品・サービスへの需要があっという間に飽和し、コモディティ化し、競争優位が失われる。そんなサイクルが連続する時代に、同じ思考パターンで似たようなサービスを売り続けることに、どれほどの未来があるでしょうか。
みなさんのフィットネスクラブでは、昨年と異なる新しい試みを、いくつ始めましたか? ウェルネス化、狭商圏化、未顧客へのアプローチ——こうした変化に対応した取り組みが、どれだけ新しい価値として受け入れられていますか?
山口周が警告する「劣化したオッサン」問題
思想家・山口周さんは、経験は「量」より「質」が大事だと述べています。
一定のレベルまでは「量」を学習することに意味があります。しかしそのレベルを超えたら、今度は「質」へとシフトしていかなければ、成果は自ずと限定的になっていく。
山口さんはそれを、彼らしいキレのある言葉で「劣化したオッサン」問題として提起しています。経験の量だけを積み重ね、質の更新をやめてしまった人間が、組織や人材の成長に大きなボトルネックとして立ちはだかる—必ずしも年齢や性別の問題ではなく、思考が止まった人に共通する現象です。
チクセントミハイが見た、創造性を保ち続ける人たちの共通点
では、「経験の質」を高い水準に維持し続けるには、どうすればいいのか。
山口さんがそのカギとして挙げるのが、「創造性」と「挑戦」です。
心理学者のミハイ・チクセントミハイは、実業・文学・音楽・芸術・科学など各領域で類まれな業績を残した91名を対象に詳細なリサーチを行い、その成果を『創造性 フロー体験と創造性の心理学』にまとめています。
そこで浮かび上がった際立った特徴は、こうした人々が高齢になっても創造性を維持し続けていることでした。チクセントミハイの仮説はこうです——創造的な人々はつねに目標を持ち、挑戦を続けている。だからこそ、老齢になっても知的パフォーマンス