行動経済学の基本を理解するとともに、フィットネスクラブ経営に役立てる方法について紹介する本連載。最終回となる今回は、これまで紹介してきた行動経済学をどのように捉え、どのように生かしていけば良いのかについて紹介する。
■やはり人間は不合理な生き物である
社会生活をしていくうえで、「なぜあの人は、あんなことをするのだろう?」だとか、「また、無駄遣いをしてしまった…」などと思う機会は多数あるだろう。本連載の初回に、人間はしばしば不合理な行動を起こし、自分の利益を最大化するための合理的な行動を必ずしもできないと述べた。
これまで、ヒューリスティックや、プロスペクト理論、利他的行動など、様々な用語、事例を紹介してきたが、これらのことを認識し、理解することができれば、日常に起こる不合理な現象にも冷静に対応することができるのだ。特に人は、他人の行動にはよく目が向きがちなため、相手の不合理行動に対しても腹を立てることが少なくなるかもしれない。また、自分の行動の見直しにもつながるだろう。
行動経済学を学ぶことの主なメリットをまとめると、
このように、行動経済学を理解することで、様々な観点においてメリットが得られる。特に、ビジネスシーンでの活躍は、これを理解しているかどうかで、大きく変わるといっても過言ではないだろう。
■行動経済学はマーケティングである!
行動経済学が生まれたのは1970年代である。日本でも最近になって、行動経済学という文字を見る機会が増えたように思えるが、本連載で紹介してきたとおり、これまで多数の実験がなされてきており、これまで3名ものノーベル賞受賞者もだしている学問なのである。
また、マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー氏は、「行動経済学は『マーケティング』の別称にすぎない。過去100年にわたりマーケティングは経済学とその実践に基づく新たな知識を生み出し、経済システムが機能する仕組みに関することに役立てた」と語っている。
つまり、行動経済学とは、「経済学で考えられること」と「人間の行動」を組み合わせたものであり、これまでマーケティング