行動経済学の基本を理解するとともに、フィットネスクラブ経営に役立てる方法について紹介する本連載。前回は行動経済学の代名詞とも言える『プロスペクト理論』における前処理段階として、「参照基準点」について説明した。今回は、この参照基準点を人はどのように使い、判断をしていくのかについて「価値関数」とともに説明する。

■自分の相場感とどれだけズレているのか?

人は損得などのリスクを持つような不確実性の高い行動をとるとき、どのような意思決定をするのかについて説明したのが、行動経済学の代名詞ともいえる『プロスペクト理論』である。このプロスペクト理論は、「前処理」「価値関数による評価」「加重関数による評価」の3つのステップに分かれると前回の記事では説明した。

特に、前処理段階で用いられる「参照基準点」は、誰しもが無意識に持っている「自分の過去の経験や社会的な常識から得られる相場感」のようなものである。この参照基準点を意識的に扱うことで、顧客の行動変容を促し、ビジネスに応用することができる。
※【連載 第6回】人の基準を操り、ビジネスに応用する

そして、人はこの参照基準点とのズレによって損得を判断するのである。自分が思っていたよりも安ければ嬉しいし、高ければ嬉しくないのは当然!と言えば当たり前に聞こえるが、実はそう単純ではない。ここでプロスペクト理論の第2ステップとなる『価値関数』を理解することが大切である。

■同じ金額でも損得の感じ方は異なる

例えば、昨年のあなたのボーナスの金額が30万円だったとしよう。この1年、業界の不景気に見舞われ、特に大きな成果を残すことはできなかったが、精一杯頑張り、大幅な損失を生むこともなかった。そこでボーナスの日がやってきた。

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