フィットネスクラブにおける「リカバリー」の位置づけが、いま大きく変わろうとしている。レッドライトセラピー、サウナ、コールドプランジ、ストレッチ—こうした要素を「追い込んだ後の後処理」としてではなく、運動体験そのものの一部として、どう組み込んでいくか。
「動」と「整」が同じ空間のなかで自然につながる導線づくりは、単なる付加価値の創出ではなく、顧客体験そのものを再設計する取り組みだ。
狭商圏化が進むなかで未顧客に届くサービスをデザインして、新しい顧客とのエンゲージメントを醸成しながら、持続的に成長していくために、事業者に求められる発想の転換とは何か。
◆スタジオという「アクティブゾーン」にリカバリーを組み込む
これからのフィットネスシーンにおいて「リカバリー」の位置づけは、とても大事になりそうだ。その要素の一つは、クラブ内でアクティブゾーンとされているスタジオでも提供できる。
というか、そちらの方がむしろ、顧客にとってアクティブからリカバリーへと向かうための自然な流れをつくれるかもしれない。
例えば、まだ日本ではどこも導入していないが、レッドライトマットでのセラピーがある。近視進行抑制や美容・スキンケア(コラーゲン生成・肌質改善・小じわの軽減やメラニン生成の抑制)、痛みの緩和・回復(血行促進、関節痛や筋肉痛の緩和、細胞の修復)、睡眠の質の改善などが期待できるとされ、いま欧米で広がりを見せてきている。
ただ「エビデンスの質」の問題は残っている。レッドライトのRCT(ランダム化比較試験)は、まだサンプルサイズが小さいものがほとんどなのだ。もっとも、革新的なものというのは、始まりはいつもそういうものなのかもしれない。
◆「後処理」ではなく「運動体験の一部」へ——サービスデザインの視点
ここで重要なことは、スタジオという「アクティブゾーン」の中にリカバリーを組み込むという発想が、リカバリーを「追い込んだ後の後処理」ではなく「運動体験そのものの一部」に引き上げるということだ。これはトータルにサービスをデザインするというマーケティングの視点からも、とても大事になる。
◆エネルゲイア―居ること自体が充足である価値
一方、ユーダイモニア(人とのつながり、意味)に対応するエネルゲイアは「活動そのものがすでに目的を含んでいる」状態。「見ている」はすでに「見た」を含み、終わりがないから完了